抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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これまで,農業者が自作できる低コストな農業用ハウスの開発を目的に,三重県熊野市において竹を構造部材に活用した小規模な農業用ハウス「バンブーグリーンハウス(BGH)」の開発および普及に取組んできた。前報(長野ら,2017)では,竹を利用することでハウス資材費を低減できることを実証したが,建設作業に長時間を要することが課題であった。また,建設作業とは別に竹材を入手するための作業時間が生じることも課題であった。本報では,これらの課題を解決するため,省力的に建設可能なBGHの構造を検討するとともに,行政が行う竹林整備事業との連携に取組み,過去の事例と構造面,コスト面を比較しつつ総合的にBGHの普及性を考察・評価した。部材費は,本研究で開発したBGH3号およびBGH4号のいずれにおいても前報におけるBGH2号より安価となり,一般的なパイプハウスの約半分に減じることができた。また,建設時間についてBGH3号は延べ138.4時間,BGH4号は延べ77.2時間とBGH2号の延べ267時間から大幅に低減することができた。竹の乾燥程度や強度のバラツキもあり構造計算による評価は難しいが,観察期間中に大きな損傷は見られなかった。ただし,BGH4号は側面からの風に対し,若干の「揺れ」が観察されている。以上から,今回試作したBGH3号およびBGH4号は既報のBGH2号より安価かつ簡易に建設できることがわかった。これらは,パイプハウスに比べ安価で小面積のほ場においても自作可能であることから,中山間地に位置する小集落での営農振興に役立つ可能性があると考えられる。また,行政等が行う竹林整備事業と連携することで資材調達コストの低減だけでなく,獣害の低減,里山環境の保全や人工林の保全にも寄与でき,地域社会全体に活力を与えるプロジェクトにもつながる可能性がある。ただし,ハウス全体の強度に関する定量的な評価が困難であったため,施工に際しては可能な限り強度の把握に努め,安全を確保することが必要である。(著者抄録)