抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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野生ニホンザル(Macaca fuscata)によって引き起こされる農作物被害は西日本の高知県における慢性的な問題である。しかし,県はこれまでマカクに対する特別な管理計画を確立しておらず,各市町村は明確な目的もなく独自の対策を個別に実施している。農作物被害を軽減するより効果的な対策計画を導き出すために,マカクの現在の分布と食行動に関する情報を収集することを試みた。マカクの現在の分布と現状を把握するため,マカクによる農作物襲撃と出現時期についてアンケート調査を実施した。独自の基準に従い,群れの数74,芸西村以外の県全体に分布すると推定した。各群れは10~30頭の動物で構成されていた。群れの密度は,1)県北部の山岳森林,2)室戸および幡多地域の海岸部で高く,複数の群れの行動範囲は時折重なっていた。さらに食性を研究するために捕獲した動物の胃内容物分析を実施した。高知県のマカクは一年を通して農作物に依存している一方で,秋には自然のものを摂食していることが分かった。まとめると,県内のマカクによる現在の農作物被害はかなり軽く,そのため基本的な対策(例えば,除去や,農作物周辺に柵を設置するなど)を行うことが効果的である。一方,農作物へのマカクの依存性の高い地域では捕獲する必要がある。マカクによる農作物襲撃に関する情報が欠けている西日本において,効果的な対策計画を開発するためには,各県が密に協力してこの問題に関する基本的な情報を蓄積する必要がある。(翻訳著者抄録)