抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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大気中に放出される放射性核種の一部は,作物表面に堆積し,さらに吸収や転流により植物の他部位へ行く。リンゴは青森県の主要農産物であり,青森県では最初の商業核燃料再処理施設を建設中である。リンゴ樹木表面に堆積した放射性セシウムと放射性ヨウ素の挙動および果実への移行は十分には分かっておらず,2016年度にその為の研究プロジェクトが開始された。2017年度に,著者らは1)負荷された安定I
-やCs
+の果実表面への吸収,および2)負荷Cs
+の葉や幹表面への吸収および転流を検討した。両研究において,標的イオンを液滴として表面に塗布した。実験植物として,扱いやすい点から,2年生から4年生の鉢植え姫リンゴ(Malus sp.cv.アルプスおとめ)を用いた。著者らは,人工気象実験室内でリンゴを栽培し,発芽後106,141および176日目の初期発達期,後期発達期および完熟期の果実表面にI
-やCs
+液滴を負荷した。樹木から果実を定期的に集荷し,洗浄液で洗浄後,果皮を剥いた。洗浄液,果実表皮および果肉のIとCsを分析した。発達期の全段階で,果実表面のIとCsの洗浄可能割合は2つの相で減少し,初期相は迅速に減少し,後期相では完熟期に負荷したCsを除きゆっくりと減少した。完熟期に負荷したCsでは,初期の急速な減少後は定常値となった。果実後期発達期では,果実表皮と果肉サンプル中の両元素の割合は2日間で急速に増加し,続いてほぼ定常値となった。これから,両元素が表面から果実内部へ急速に移行したことが分かった。負荷量に対する洗浄可能部分を含めた全果実の両元素の回収割合は1.0未満であり,植物の他部位へのIとCsの転流及び/又はIの揮発が考えられる。結実前のリンゴ樹木(発芽後60~68日目)の葉と幹表面にCs
+液滴を負荷後,全部のリンゴ樹木を定期的に収集し部位ごとに分けた。Cs負荷した葉と幹サンプルを洗浄液で洗浄し,サンプルと他の植物部位サンプルと一緒にCsの洗浄液を分析した。両方の表面からの洗浄可能Csも2つの減少相があった。初期相は急速に減少し後期相はゆっくりと減少した。果実への転流Csは各表面負荷量のパーセント値の数割であった。(翻訳著者抄録)