抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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【目的】1933年に改正された図書館令により中央図書館制度(1933年から1950年)が創設された。戦後,中央図書館制度は主に図書館における思想善導を主導したとして批判された。しかし,その制度の詳細や事業の実施状況は十分明らかにされていない。そこで,本研究では,1)中央図書館制度に関わる規程とその実施体制,2)中央図書館制度の実施状況,3)文化統制・思想善導との関わり,について明らかにする。【方法】中央図書館制度に関わる法令と実施体制,および中央図書館に関わる事業の実施状況を文献調査によって明らかにした。用いた文献は,戦前の文部省,中央図書館長協会による調査,中央図書館の機関紙および戦後の県立図書館史などである。【結果】1)については,公立図書館が委任事務とされていたこと,一連の法令が規定されたが規律密度は低かったこと,地方長官を経由しない行政体制が構築されていたこと,財政誘導が不十分だったこと,が明らかになった。2)については,貸出文庫,機関紙発行等,実施すべき事項のいくつかは比較的よく実施されていたことが分かった。しかし,改正図書館令で規定された事項の多くは,それ以前より県立図書館の多くが実施していたものであり,中央図書館制度創設の影響は限定的であることも分かった。3)については,まず中央図書館は検閲について間接的・受動的ではあったが一定の関与をしていたと考えられる。思想善導に関わる施策にも一定の関与をしていた。この背景には,文部省の施策展開に適した体制が構築されていたこと,財政支援として奨励金が支出されたことなどが関係していた。(著者抄録)