文献

J-GLOBAL ID：201902222300127045   整理番号：19A1695821

「里山」概念の誕生と変容過程の林業政策史

Origin of and Change in the Concept of Satoyama in History of Forest Policy

著者 (1件)： 岡田航 (東京大学大学院)
資料名： 林業経済研究(Web)  (Journal of Forest Economics (Web))
巻： 63  号： 1  ページ： 58-68(J-STAGE)  発行年： 2017年 
JST資料番号： U1628A  ISSN： 2424-2454  資料種別： 逐次刊行物 (A)
記事区分： 原著論文  発行国： 日本 (JPN)  言語： 日本語 (JA)

抄録/ポイント： 元来,「里山」は地域社会の中で地理区分を表す用語として使用されてきたが,戦後復興の際,防災と森林資源の安定利用を図る過程で政策用語としての「里山」が登場した。1950年代,森林資源の高度利用が目指されると,農用林として使用されてきた「里山」は低位生産力地帯であるとされ,林業基本法制定の際の議論では「里山」における論争が行われた。1960年代末には逆に農用林が利用されないことが問題視され,農政も含めた総合利用のための施策として「里山再開発事業」が行われた。他方,林学の研究者の間では,1970年代以降社会文化的な要素も含んで人と「里山」との関わり合いの意味を捉える考え方が登場し,自然保護運動からは,二次的自然環境保全の重要さを訴えるための旗印として「里山」が積極的に用いられた。他方林業政策では,森林の多面的機能の観点から「里山」の意義を再考しようとする諸調査が行われるが,1990年以後は自然保護分野で「里山」が頻用されていくのとは対照的に,林業政策(森林・林業政策)においては次第に影が薄い用語となっていった。(著者抄録)

シソーラス用語： *森林 ,  *環境保全 ,  防災 ,  林産資源 ,  利用 ,  生産能力 ,  再開発 ,  林学 ,  *自然保護 ,  持続可能な農業 ,  林業 ,  日本 ,  *地域
準シソーラス用語： 自然環境保全 ,  多面的機能 ,  *里山 ,  林業政策

著者キーワード (10件)： 里山 ,  林業政策 ,  概念史 ,  資源調査会 ,  四手井綱英 ,  satoyama ,  forest policy ,  historical study on concepts ,  resources council ,  Shidei Tsunahide

分類 (2件)： 森林生物学一般  (FF02010T) ,  環境問題  (SA01020V)

引用文献 (57件)：

• 安芸皎一『水害』学生書房,1949年
• 明永久次郎『特産林業と山村の経済』林野庁研究普及課,1955年,林業専門技術普及員協議会資料
• 秋津元輝「二〇世紀日本社会における「山村」の発明」『村落社会研究』Vol.36,2000年,151~182頁
• 藤沢秀夫「里山再開発事業」『林野時報』Vol.16(4),1969年,26~29頁
• 深町加津枝,佐久間大輔「里山研究の系譜-人と自然の接点を扱う計画学を模索する中で」『ランドスケープ研究』Vol.61(4),1998年,276~280頁

タイトルに関連する用語 (5件)： 里山 ,  概念 ,  変容 ,  過程 ,  林業政策