抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
平板屋根は,強風の間,上下に振動すると予想される。構造物が振動しているとき,それに作用する非定常風力は,変位と流れの間の相互作用によって影響を受ける。渦励振などの空力不安定性は,構造物の形状と動特性に依存して生じる。これまで,大きい片持ち屋根に作用するこれらの非定常風力と風誘起振動の特性を,二次元の強制振動試験と空力振動試験を用いて調査してきた。最近,コンピュータ性能の向上に伴い,計算流体力学(CFD)を用いて三次元構造物周りの流れの過渡シミュレーションを行うことが可能になった。CFDは,従来の風洞実験では調査が困難な三次元風圧と流速場の同時かつ詳細な調査が可能である。それは特に,振動構造と流れの間の相互作用によって引き起こされる非定常風力への応用に適している。しかし,三次元CFDによってシミュレートされた振動する構造物に対する表面圧力の計算精度はほとんど調べられていない。本研究の目的は,CFDを用いて,振動している平板屋根周りの非定常風力と流れ場との関係を詳細に調べることである。最初に,風洞において三次元強制振動試験を行った。結果から,屋根の無次元振動数が比較的低いとき,屋根に負の減衰力が存在することを確認した。さらに,屋根に対する非定常風力は,断面に依存して変化した。次に,振動屋根の周りの流れをシミュレートするための重合格子によるCFDの有効性を,数値結果を風洞試験のものと比べることによって検証した。依存領域のメッシュ範囲およびマスター領域と依存領域の間の境界におけるメッシュ分解能が適切に設定されるならば,CFDは風洞結果を近似できることが分かった。最後に,CFDによって詳細に得られた同時風圧と流速場に複素固有直交分解(CPOD)を適用することによって,変動風圧力場と振動屋根周りの三次元風速場のコヒーレント構造を抽出した。CPODは,多変量データにおける任意のコヒーレント構造を抽出し,関連する様々な現象の特性について議論するための有効な技術である。この解析は,屋根の無次元振動数が比較的高いとき,屋根の風上縁からの二次元渦の剥離によって非定常風力の調和成分が発生することを示した。一方,屋根の無次元振動数が比較的低いとき,屋根振動と三次元渦の脱離が調和し負の減衰力が生じた。(翻訳著者抄録)