抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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中央アジアからモンゴルにかけての内陸アジアでは多くの地域が,乾燥地であるとともに寒冷地であるため,干ばつと寒雪害がセットになって発生し,時として社会・経済に甚大な被害をもたらす。本論文では,モンゴル国において自然災害としての「ゾド」概念が定着し,協同組合体制のもとでの災害対策の枠組みが構築される契機となった1967/1968年のゾドに着目し,その被害の実態とその後の農牧業生産とのかかわりについて検討した。農牧業の集団化が完了し,家畜生産のさらなる拡大が,国内的にも国際的にも強く求められるなかで,1960年代に相次いで発生したゾドは,経済成長を阻害する最大の要因とみなされ,ゾドによる被害の低減またはその克服が国家的な課題となっていった。しかし,1970年代から1980年代にかけてもゾドはたびたび発生し,牧畜業に大きな被害をもたらした。ゾドによる家畜の大量死は,当該年における肉(家畜生体)のノルマ達成を困難にするだけでなく,繁殖可能なメスや未成熟な個体の減少を招き,長期的な生産性の低下をもたらす。背景として,自然増加率に相当するまたはそれを上回る規模の肉(家畜生体)の過剰な国家調達がなされていたことが,ゾドの被害を深刻化させたことが明らかとなった。(著者抄録)