抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本稿はメコンデルタのコードー地区を事例として農家規模別の籾のマーケティングと収益性の差異を比較することを目的としている。分析のために,2017年9月に96戸の稲作農家からデータが収集され,分散分析,カイ2乗検定,最小2乗回帰が適用される。小,中,大の3つの異なる農家規模における人口統計学的属性は類似しているが,大規模農家は他の2つのグループに比べて裕福である。籾の生産は3つの農家グループの所得の大部分を生み出し,また,それら農家は大多数において籾の生産に特化し,生産量のほとんどを販売していることから商業志向的である。小規模農家の籾生産1kg当たり利益(1kg当たり価格-平均可変費用)は正であるが,籾生産からの所得は中,大規模の農家に比べて低い。さらに,結果は3つのグループで平均可変費用に差はないが,1kg当たり価格は大規模グループにおいて中・小規模グループに比べて顕著に高いことを示している。このことはメコンデルタの農家の高い籾生産所得の源泉は規模の経済の発現ではなく,籾の高い販売価格であることを意味する。籾の高価格化には貯蔵施設を所有していることと収穫後に販売することも影響している。本研究から得られる含意は,小規模農家は購入者との取引交渉力を強化すると同時に販売の大量化により購入者の調達費用を軽減するために農家グループに参加,またはそれを創設すること,収穫後にまで籾を販売する時点を管理できるように小規模農家への農家段階での貯蔵施設の設置への支援,小規模農家の籾からの現金収入の早急な必要性からすぐに販売してしまう状況を緩和する金融上の支援が求められるということである。(著者抄録)