抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究は,モータリゼーションの進展により商業機能が,中心市街地から都市郊外に分散した後,近年は,この同じモータリゼーションの進展により商業機能が,都市郊外から中心市街地に回帰することを実証するものである。このことを明確にするために,地域の生産活動にプラスに働くと考えられる道路インフラが,逆に,商業集積地ではマイナスに働く場合があることを仮定として設定し,中心市街地の商業集積地である駅周辺型商業集積地区の小売商業の生産と,都市郊外の商業集積地であるロードサイド型商業集積地区の小売商業の生産について,モータリゼーションの進展を示す指標としての市道延長との関連性を明らかにする。そのため,商業集積地の生産要素について,労働投入として従業者数,民間資本として売場面積,道路関連社会資本として市道延長を組み込んだ立地環境別商業集積の小売商業の地域生産関数を推計する。分析対象地域は愛知県内の中小市域部で,ここに存する全ての駅周辺型商業集積とロードサイド型商業集積を対象とする。推計の期間は,1979年から2014年までの7時点で36年間である。なお,この期間には,大規模小売店舗の立地規制に関して,強化と緩和につながる制度の大幅な見直しが行われている。推計の結果,市道が駅周辺型商業集積地区の小売商業の生産にマイナスに働く時期の存在と,ロードサイド型商業集積地区の小売商業の生産にプラスに働く時期の存在,また,近年は,逆に,市道が駅周辺型商業集積地区の小売商業の生産にプラスに働く時期の存在が明らかとなった。結論として,モータリゼーションの進展により商業機能の都市郊外への分散後,近年は,逆に,中心市街地への回帰の状況が証明される結果となった。また,この期間における大規模小売店舗の立地に関する規制の強化と緩和の施策の影響が示唆された。(著者抄録)