抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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琵琶湖周辺には,古~中生代の丹波帯構成岩類および白亜紀~古第三紀の花崗岩類,中新世の海成層(鮎河層群),鮮新世~更新世の非海成層(古琵琶湖層群),完新世の沖積層が分布している.琵琶湖に流入する17の1級河川の河口堆積物33サンプルについて全岩化学組成分析を行った.本研究では,これらのデータを堆積物の根源岩の全岩化学組成と比較しながら,その地球化学的特徴を解析した.17の河川より得られた各試料は,各河川の流域に分布する地質の構成比に基づいて,Group1:主に沖積層および古琵琶湖層群由来の堆積物,Group2:主に花崗岩由来の堆積物,Group3:主に丹波帯由来の堆積物の3つに大別した.Group2の堆積物は上部大陸地殻(UCC)の化学組成と比較してMgO,CaO,Na
2O,Cr,Ni,Sr,Vに乏しく,かつRbに富む傾向があり,Group3の堆積物はCaO,Na
2O,Srがやや乏しく,かつ苦鉄質鉱物由来の元素に富むことが明らかとなった.一方,Group1の堆積物は,Group2や3からの砕せつ物や礫が過去に堆積してできた地層が供給源であることから,Group2と3の間に挟まれながら幅広い化学組成バリエーションを示した.堆積物の地球化学的特徴は概ね供給源の岩石を示唆するが,根源岩の風化作用や再堆積の影響よる組成変化も被っている.一方,分級や重鉱物の濃集による化学組成への影響は小さいことが示された.ただし,Group1にはジルコンの濃集があり,花崗岩由来の沖積層が再堆積を繰り返したなどが推測される.加えてGroup3はVに富んでおり,これは磁鉄鉱や粘土などがより細かい微粒子となっている可能性が示唆される.本研究では河川堆積物の化学組成が根源岩の推定に役立つだけでなく,その起源の風化や分級の作用の解析にも役立つことが示された.(著者抄録)