抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
・1899年(明治32年)8月15日未明,九州南部を台風が通り,鹿児島測候所で最大風速49.6m/sを観測。
・これは明治時代に国内の平地で観測した風速では第1位。
・この台風により鹿児島県では1万6千戸の住家が全壊。
・しかし,この台風の資料は少なく,一部の文献に略記されている程度であり,記録的な強風をもたらしたにも拘わず,半ば忘れられた存在。
・本稿では,当時の資料に基づき,台風とそれによる災害を記述。
・当時の風速の観測は4杯型風速計によるが,観測値が過大とされており,現在の補正法に従って当時の70.9m/sを0.7倍して49.6m/sと換算。
・当時の中央気象台職員であった坪川辰雄(1899)の記述に基づき,気象の経時変化及び被害の状況を説明。
・この台風は上陸後急速に衰弱して,大きな被害が鹿児島県に限られたことや,人的被害が当時としては少なかったことにより,後世の記憶に残りにくかったのではないかと推測。
・しかし,台風の風が今なお社会の脅威になっていることを考えると,台風の直撃による著しい強風の例として記録に留める価値があるだろうと結論。