抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究は,会計基準の国際的収斂が進行する中で,国際財務報告基準(IFRS)の適用が,情報利用者の意思決定に有用な情報提供に資するかについて検討することを意図している。そこで本稿では,IFRSの適用企業が世界の主要な資本市場に参加する情報利用者に対して,高品質で,比較可能な利益情報を提供しているかについて検討することを目的とする。研究対象国は,オーストラリア,カナダ,フランス,ドイツ,日本,イギリス,およびアメリカの7か国である。分析は,自国の会計基準からIFRSへと変更した企業における利益の質の変化と,IFRSの適用企業の間における利益の質の差異について,国別および業種別に実証的に比較検討する。分析の結果,IFRSの適用企業における利益の質は,自国の会計基準の適用企業以上に高いが,その利益の質は業種間および国家間で相違があり,依然としてIFRSの適用企業間における利益情報の比較は困難であることが明らかになる。本稿の貢献は,IFRSという単一の財務報告基準を適用しても,依然として財務情報の比較が困難であることから,世界の資本市場に参加する情報利用者が意思決定を行う際には,業種や国家の相違について注意する必要があることを指摘する点にある。(著者抄録)