抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ル・コルビュジェのモジュロールは,建築物の次元とスケールの理論である。モジュロールは1920年代にル・コルビュジェによって提唱され,「機械美学」を達成するために使用された,次元基準,純粋主義の原理,および規則の模倣を変化させ,それは,戦後のマルセイユ住宅団地,the Cabanon,および教会建築などの建築物の内部および外部の両方に調和をもたらした。なぜモジュロールの人間の図形がその左手を上げているか?この特徴的な姿勢と体格の広い普及にもかかわらず,人間の図形がモジュロール研究に果たす役割と,それが理論にもたらすものは不明のままである。モジュロールにおける人間の図形は,単に理論の図化または説明ではなく,理論の中心でもある。本論文では,理論の形成の各段階における理論と身体表現(部分と姿勢)の間の相互調整を追跡することにより,図形表現における意図的な変化が存在することを論じた。次に,現代の美学者,数学者,そして建築家の「機械的身体」との比較において,モジュロールの「腕を上げる身体」によって達成された行動の自由度は,人間の身体の図形的表現の効率性への批判であった。モジュロール研究を動機づける基準は,大量生産を支える現代の知識から生じ,言語と国家境界を越えてその存在を可能にした。それは,バウハウスと他の建築運動を含む,一般的に現代の芸術と同様に,ル・コルビュジェによって提唱された「生活のための機械」及び建築純粋主義によって共有されている。しかし,ドイツにおけるナチ体制の「全戦争」政策の下では,Neufert基準は,通常の大量住宅だけでなく,集中キャンプの計画における最大効率に対しても,また,戦争捕虜による強制労働に対しても採用されている。モジュロールにおける身体の表現は,全身の緩和を通して多様で自由な挙動を可能にした。右手を上げる姿勢は,労働/生産には利用できない空間の高さを示す。このような姿勢は,機能主義的思考と効率指向的人間理解に無関係である。しかし,建築家にとって,それは天井の高さを確認する日常的姿勢である。この姿勢により,モジュロールは,Neufert体を含む機械的身体を批判し,空間概念により把握できない自由空間を発見し,意味のある空間と考えられる。本論文の目的は,これらの問題を用いて,モジュロールの理論の形成における人間の図形の機能と役割を明らかにすることである。(翻訳著者抄録)