抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究は,長期にわたって人々に重視されてこなかった中国の西南地方にある伝統的な民家の一種類である吊脚楼を対象に,建築空間に内在する伝統的な意匠哲学を捉え,苗族と土家族の伝統的な吊脚楼について,現地調査と『道徳経』などの文献調査を通じて,それらの吊脚楼の建築空間に内包されている意匠哲学を考究することを目的とする。前篇『中国西南地方の苗族,土家族の集落空間における自然観に関する研究』に続き,研究では,伝統文化を持つ苗族,土家族の吊脚楼の空間の構成原理について,現在の伝統文化を軽視した中国の建築設計にとって参考にすべき重要な価値があると考えた。本研究ではまず,吊脚楼の歴史的伝承,特徴及び道家思想との関連性を述べてから,道家思想にある自然観と空間観を考察した。特に,道家思想の「実」と「虚」の理念を抽出し,建築空間との結び付きについて論じている。また,建築の外部形態,立地選択,使用者の三つの側面から苗族,土家族の伝統的な吊脚楼を分類し,整理した。さらに,吊脚楼の特徴と造型を明らかにし,空間と機能の関係や,空間の分割の二つの側面からその内部空間の特徴と機能を分析した。その上で,その調査内容と道家思想から抽出した空間観及び道家思想と深い関係がある太極図の空間変化との結び付きを比較し分析した。本研究は歴史文脈の伝承を実在の吊脚楼の調査を通じて苗族,土家族の伝統的な吊脚楼に反映されている道家思想の特徴を明らかにした。その吊脚楼の中にある「虚」と「実」の交替は太極図の原理と現象と一致していること,また,吊脚楼は「道家思想」に含まれている自然観,空間観を反映していることを明らかにした。(著者抄録)