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J-GLOBAL ID：201902260687794482   整理番号：19A1092821

リスクとベネフィットを合わせもつ外来植物の戦略的管理

Strategic management of invasive alien plants with commercial value

著者 (1件)： 江川知花 (国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境変動研究センター)
資料名： 日本生態学会誌  (Japanese Journal of Ecology)
巻： 69  号： 1  ページ： 29-35(J-STAGE)  発行年： 2019年 
JST資料番号： G0845B  ISSN： 0021-5007  資料種別： 逐次刊行物 (A)
記事区分： 解説  発行国： 日本 (JPN)  言語： 日本語 (JA)

抄録/ポイント： 外来種による生態系影響は,生物多様性を脅かす危機のひとつとして認識されており,愛知目標でも侵略的外来種の制御・根絶が個別目標として掲げられた。日本では,侵略的外来種としてリストアップされている植物168分類群のうち,約6割が農業,園芸,緑化など様々な産業で現在も利用されている。侵略的外来種の制御や根絶を推進するという観点から見れば,これらの種の利用は規制されることが望ましいが,市場ニーズのある種の利用ができなくなれば,大きな経済上の損失が生じる。2030年に向けてますます重要性を増す生物多様性保全,そして経済成長という2つの命題に応えるためには,外来植物の産業利用と生態系被害の防止を両立させる有効な手立てが必要である。本稿では,外来植物の産業利用と生態系被害防止を両立するための方策のひとつとして,オーストラリアで考案された「戦略的管理システム」を紹介する。戦略的管理システムとは,有用性と侵略性を合わせもつ外来植物を対象に,その利用便益と生態系被害を定量的に評価し,利用量を適正化するための政策を決定する制度である。合理的な判断基準によって個々の外来種の利用量を定めることにより,外来種の経済効果を可能な範囲で享受しつつ,防除を推進し生態系被害を軽減することを目指している。戦略的管理システムについて概説した上で,2面性をもつ外来植物の取り扱いに関する日本の現状と課題を整理し,外来植物の産業利用と生態系被害防止の両立に向けて生態学者が果たすべき役割について考察する。(著者抄録)

シソーラス用語： *外来種 ,  利用 ,  *生物多様性 ,  環境保全 ,  性質 ,  植物 ,  経済効果 ,  生態系 ,  *管理 ,  リスク ,  雑草 ,  リスク評価 ,  *外来植物 ,  *生態系管理 ,  生物多様性保全 ,  侵入植物 ,  生態リスク
準シソーラス用語： 産業利用 ,  侵略的植物 ,  生態系リスク ,  有用性

著者キーワード (10件)： 逸出防止管理 ,  雑草リスク評価 ,  産業利用 ,  侵略的外来種 ,  便益費用分析 ,  commercial use ,  containment ,  cost-benefit analysis ,  invasive alien species ,  weed risk assessment

分類 (2件)： 生態系  (EE01040P) ,  植物学研究法  (EH01020C)

引用文献 (19件)：

• Costanza R, de Groot R, Sutton P, van der Ploeg S, Anderson SJ, Kubiszewski I, Farber S, Turner RK (2014) Changes in the global value of ecosystem services. Global Environmental Change, 26:152-158
• Dehnen-Schmutz K, Touza J, Perrings C, Williamson M (2007) The horticultural trade and ornamental plant invasions in Britain. Conservation Biology, 21:224-231
• Driscoll DA, Catford JA, Barney JN, Barney JN, Hulme PE, Inderjit, Martin TG, Pauchard A, Pyšek P, Richardson DM, Riley S, Visser V (2014) New pasture plants intensify invasive species risk. Proceedings of National Academy of Sciences USA, 111:16622-16627
• Gravuer K, Sullivan JJ, Williams PA, Duncan RP (2008) Strong human association with plant invasion success for Trifolium introductions to New Zealand. Proceedings of National Academy of Sciences USA, 105:6344-6349
• Grice A, Friedel M, Setterfield S, Ferdinands K, Clarkson J, Rolfe J, MacLeod N (2011) Best Practice for Making Strategic Decisions about Invasive Plants of Commercial Value. Report No.11/055. Rural Industries Research and Development Corporation, Canberra

タイトルに関連する用語 (3件)： リスク ,  外来植物 ,  戦略