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J-GLOBAL ID:201902261612114837   整理番号:19A1592030

機械学習による複屈折像における結晶欠陥の自動識別

Recognition of Crystalline Defects by Birefringence Imaging and Machine Learning
著者 (2件):
資料名:
号: 33  ページ: 270-277  発行年: 2019年06月 
JST資料番号: L5491A  ISSN: 0919-3383  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 原著論文  発行国: 日本 (JPN)  言語: 日本語 (JA)
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半導体デバイス,特に大電力を扱うパワーデバイスでは,結晶中の欠陥(転位,積層欠陥)が,デバイスの特性や信頼性,歩留まりに影響を与えるため,欠陥密度を低減することが望まれている。現在,主にパワーデバイスの材料として用いられているシリコン(Si)においては,結晶の成長技術が成熟しており,ほぼ無転位のウエハを製造する方法が確立している。しかし,次世代パワーデバイス材料として期待される炭化ケイ素(SiC)においては,結晶成長技術の進歩により,品質は改善されつつあるものの,結晶には102-104個/cm-2の転位が含まれており,Siウエハと比較すると品質が良いとは言えない。転位欠陥を含む結晶を用いてパワーデバイスを作製する場合,無転位が前提のSiパワーデバイスとは異なり,転位密度や分布は歩留りや信頼性に直結するため,その評価は極めて重要となる。また,転位の種類によって,デバイスの性能や信頼性に与える影響が異なるため,転位の種類と位置を正確に評価できる手法が必要となる。このため,非破壊で,高分解能,大面積の測定が可能である欠陥評価手法の確立が望まれている。また,デバイスの高性能化・量産化を考えると,測定時間は短時間で,プロセスごとの品質管理のためには,製造ラインに組み込むことができることが好ましい。偏光顕微鏡を用いた複屈折イメージングは,応力によって複屈折が変化する光弾性効果により,応力分布を可視化できる方法であり,原理的には転位の向きやバーガースベクトルを決定することが可能である。ところが,偏光方向や光の入射方向によって像が大きく変化するため,その解釈が困難であることが課題である。本研究では,複屈折イメージングによる転位の詳細な解析を行うために,シミュレーション技術を確立することを第一の目的とした。次に,シミュレーションと実験像の比較を行い,複屈折イメージングによる転位の解析方法の検討を行った。さらに,転位欠陥の自動識別システムを構築するために,ニューラルネットワークによる欠陥識別アルゴリズムの検討を行った。結晶中に転位が存在すると,転位のバーガースベクトルや,転位線の方向によって異方的な応力が生じる。このため,転位の種類によって異なる位相差の分布を示す,つまり複屈折像において異なるコントラストを呈する。したがって,転位の複屈折像をシミュレーションするためには,転位のまわりの応力場を計算し,それにより生じる位相変化を計算すればよい。転位のまわりのひずみ場は,転位のバーガースベクトルと伝播方向,結晶の弾性率から異方性弾性論により計算することが可能であり,複屈折像のシミュレーション技術を確立することができた。実験像との比較を行うために,偏光顕微鏡による観察を行った。偏光顕微鏡による複屈折イメージングには,Mipox社製XS-1を用いた。XS-1は,独自の照明・光学・信号処理技術により,結晶転位欠陥に由来する微小な歪みを,その複屈折像のコントラスト画像として捉えることができる,半導体結晶の欠陥評価に特化した装置である。実験像とシミュレーション像を比較から,転位のバーガースベクトルや傾斜方向,さらには傾斜角度などを類推することが可能であることが示唆された。観察結果とシミュレーションとの比較を,観察を行う研究者が簡単に実施できるようにするために,Graphical User Interface(GUI)を有するシミュレーションソフトのプロトタイプ開発を行った。作製したソフトウェアにおいては,オペレータがパラメータ入力画面において,結晶の弾性率や,転位のバーガースベクトル,転位の伝播方向,結晶の方位に関する数値を入力し,計算を開始することにより,シミュレーション像を生成することができる。また,パラメータの保存や,画像の保存,表示(gray scale,color scale)の変更を行うことが可能である。開発したソフトは,六方晶系の計算に対応しており,SiC,GaNのほかにも,AlNやサファイアの転位のシミュレーションを行うことも可能である。機械学習による自動識別に関しては,アルゴリズムの検討を行い,自動識別器の性能評価を実施した。自動識別のアルゴリズムには,欠陥の画像を入力として,出力を転位の特徴とする畳み込みニューラルネットワークを用いることとした。複屈折イメージングの自動識別器の構築には至らなかったが,別の手法において,転位のひずみ分布から転位の種類を識別するニューラルネットワークを構築し,実験像に対して80%以上の精度で転位の種類を予測することが可能であることを確認している。ノイズ除去などを検討することにより,複屈折イメージングによる欠陥自動識別に応用していく。今後は,作製したGUIシミュレーションソフトを用いて,実験像とシミュレーションのより詳細な比較を行い,全ての転位のバーガースベクトル,傾斜方向・角度を決定する方法論を構築し,複屈折イメージングと機械学習による欠陥自動識別システムの構築を目指す。(著者抄録)
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分類 (2件):
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半導体の格子欠陥  ,  固体デバイス計測・試験・信頼性 
引用文献 (14件):
  • Y. M. Tairov, Mater Sci. Eng. B, 29 (1995) 83.
  • H. Matsunami and T. Kimoto, Mater. Sci. Eng. R, 20 (1997) 125.
  • D. Nakamura, I. Gunjishima, S. Yamaguchi, T. Ito, A. Okamoto, H. Kondo, S. Onda and K, Takatori, Nature, 430 (2004) 1009
  • N. Ohtani, T. Fujimoto, M. Katsuno, T. Aigo and H. Yashiro, J. Cryst. Growth, 237-239 (2002) 1180.
  • Y. Yamamoto, S. Harada, K. Seki, A. Horio, T. Mitsuhashi, D. Koike, M. Tagawa, and T. Ujihara, Appl. Phys. Express, 7, (2014) 065501 (3 pages).
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