抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
顔の知覚では,目や口など部分特徴の全体的な配置(布置情報)に関する処理である全体処理が重要なことが示されてきた。しかし,部分特徴が顔としての配置の中におかれた場合,顔の他の情報から影響されずに知覚されるか,すなわち布置情報と切り離して注目可能かは十分に検討されていない。そこで本研究では,部分特徴の知覚は布置情報の影響を受けるかどうか検討することを目的とした。3つの実験で共通して,オリジナル顔とターゲット顔を同時提示し,一部分だけが異なる2つの顔から異なる部分特徴を検出する条件(DPd-SC条件)と,同じ部分特徴を持つ2つの異なる顔から同一の部分特徴を検出する条件(SPd-DC条件)からなる課題を実施した。実験1では正立提示で検討を行い,予測に従う結果を得た。実験2では倒立効果を用いて検討を行い,倒立提示ではDPd-SC条件の反応時間が正立提示に比べて有意に増大した。また実験3より,実験1と2の結果は課題の性質ではなく,布置情報に関わる処理によって引き起こされたことが確認された。この実験結果から,部分特徴の知覚は布置情報の影響を受けること,我々は部分特徴の情報と布置情報の両方を顔の識別に利用していること,の2つが示唆された。顔の部分特徴の知覚と処理は,顔の印象形成などより高次の判断に影響するため,本研究は顔の高次認知にかかわる基礎的要因を明らかにしたと考えられる。(著者抄録)