抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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平成12(2000)年の需給調整規制撤廃後,地方鉄道の経営移管(別組織への転換-営業廃止・バス転換を含む)は現在も進行中である。地方鉄道の経営移管は地域社会にインパクトを与えるものであり,地方鉄道経営再建の事例研究は今日的課題として社会的意義を有する。筆者らは過年度,地方鉄道経営再建に関する事例研究を行ってきた。和歌山都市圏(貴志川線)と高松都市圏(高松琴平電鉄)での成功要因を抽出する事例研究,弘前都市圏(弘南鉄道大鰐線)では経営再建可能性の分析を行っている。これら研究では,500mメッシュ人口データ,100mメッシュ土地利用データを活用した,駅勢圏人口分析を行っている。また,地方鉄道に関しては,北海道旅客鉄道,並行在来線経営移管第三セクター(しなの鉄道・IGRいわて銀河鉄道・青い森鉄道)に対し,経営持続可能性に関する研究を行っている。これら研究では,500mメッシュ人口データを活用した,駅勢圏人口分析を行っている。以上一連の研究を経て,筆者らは地方鉄道に関する知見を蓄積してきた。地方鉄道のなかには,旧日本国有鉄道の路線網の一部でもあり,近年では経営状況が逼迫しつつある路線・区間が存在するとされている。本研究は,客観的な統計指標と,近年の駅勢圏人口分析を基に,地方鉄道における輸送状況の今日的課題を明確化することを目的とする。本研究での論点は,政策論というよりもむしろ,客観的なエビデンスに基づく,いわば「起こっている事実の呈示」が中心とするものである。(著者抄録)