抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究の目的は,「北海道科学大学」のキャンパスを開発分野とし,既存の「見える化システム」のデータをもとに,削減可能な設備のエネルギー消費量を推定する方法を示すことである。さらに,本研究では,施設管理者や利用者に省エネを促すことを目的とした対話型ユーザーインターフェース機能を備えた省エネ支援システム(「対話型システム」)の開発について述べた。調査の結果は以下の通りである;1)「講義棟」の年間使用実績とエネルギー消費量の実測値に基づき,施設の消費エネルギーの削減できる量を,照明器具および換気装置によって消費されるエネルギー量として推計した。「講義棟」の年間エネルギー使用量の7.5%,空調用燃料消費量の2.4%の削減が可能であり,「インタラクティブシステム」を導入することでエネルギー削減効果が期待できることは明らかである。2)「インタラクティブシステム」の開発は,既存の「見える化システム」の評価,システム導入によるエネルギー使用量削減効果の推定,省エネルギー対策の抽出,施設運用モデルの構築,ユーザーインターフェースの作成という手順で実施した。「対話型システム」は,測定データや施設の稼働状況の読み取り,設定された条件による機能の分析・診断,ガイダンスメッセージの送信,施設利用状況の受信およびユーザーの温熱感覚などの機能を備えている。3)キャンパス内の講義棟に「インタラクティブシステム」を導入し,施設管理者,学生,教職員をモニターとして実験を実施した。利用者によるシステムの有効性,使い勝手,利用性の評価から,本システムの対話型ユーザーインターフェース機能が利用者の省エネ行動の誘発に有効であることを明らかにした。「対話型システム」は,ガイダンス配信を受けた施設の運用管理者または施設利用者の判断に省エネ行動の実行を委ねることを特徴とする。専門の施設管理者,機器の更新,自動制御機器の導入は必要ない。そのため,あらゆる用途や規模のビルに設置でき,省エネ対策が進んでいないビルでもエネルギー消費量の削減が期待できるシステムである。今後も導入した「インタラクティブシステム」の運用,操作性や使用感の確認,システムの改善を行い,他の利用施設への展開作業の抽出と改善に努める。(翻訳著者抄録)