抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
本稿では,日本の地方集落における農業分野の外国人技能実習生受け入れの今後に向けて一つの可能性を示したい。「出身農村に戻ることを前提に来日する若手農業者」を受け入れ,実質的な人材育成に取り組むことは,インドネシアにおける送り出し地域の農村と,実習生を受け入れる日本の農村にとっていかなる機会となり得るのだろうか。「2つの地域」への視点を手掛かりに,事例を通じて検討する。外国人技能実習制度を巡る議論は,「日本で長く働きたい人」と「長く働いてほしい雇用主」を前提とした制度整備が中心だが,帰国後の地元での成功を期待する実習生は必ずしも滞在を長引かせたいわけではない。彼らにとって重要なのは,実習期間の経験が,帰国後の生活に結実することである。よって,そのような実習生を支え,実習期間を双方にとって実りある経験とするには,受け入れ側が,実習生の出身地域に関心を抱くことが重要である。福井県の農園たやでは,帰国後の営農プランを支えるべく,事前調査や月間レポート,座学等を通じて学びの機会を提供する。中でも,個々に事情の異なる出身農村の実態把握が重視されている。また,実習生自身がインドネシアの出身農村と農業についての問いに応えることは,自らの地域をより深く考え,知る機会にもなっている。国境を越えて人の移動が常態化しつつある今,互いの地域へ想像力を高め,意欲を持ってかかわることが,これからの時代の農村を創造していく一つの鍵となるのではないだろうか。(著者抄録)