抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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楔を有する貫-柱仕口が,日本の伝統的な木造建築においで使用されている。仕口は,地震荷重や風荷重のような水平荷重に耐えることができる最も重要な構造要素である。楔を有する貫-柱仕口の構造特性は,以前の研究で報告されているが,以前の研究での対象は,住宅などの比較的小さい木造建築物である。日本には,貫-柱仕口を用いた多くの歴史的寺院や神社がある。歴史的木造建築物の部材サイズは住宅よりもはるかに大きいため,伝統的木造建築物の貫-柱仕口の構造特性について評価する必要がある。本論文の目的は,楔を有する貫-柱仕口の実物大試験による試験結果に基づいて,日本の歴史的建築物での楔を有する貫-柱仕口の構造特性を評価することである。第1章では,本論文の意義について述べた。第2章では,3種類の楔を用いた実物大静的加力試験の方法を示した。第3章では,楔の形状,楔の種類および抜け出し挙動が仕口の構造特性に与える影響について考察した。全ての試験体は,モーメント-変形関係において進行スリップ型履歴を示した。仕口の構造特性と抜け出し挙動は,楔種類と楔角度により異なる。さらに,楔角度が大きければ大きいほど,普通楔と斜め楔の両方において,抜け出し挙動は大きくなる。第4章では,著者らは,部分圧縮要素試験に基づいて仕口の全モーメント-回転関係曲線を推定した。第5章において,著者らは,伝統的な日本の社寺の構造設計のために,仕口の構造特性を簡易に推定する方法を提案した。この方法では,楔の抜け出し挙動を考慮している。本研究で得られた結論は以下の通りである。1)楔を有する貫-柱仕口の構造特性は,楔の形状と楔の抜け出し挙動に大きく影響される。2)貫-柱仕口の力学的モデルに基づき,一対の楔に対する単純な部分圧縮試験をベースに,仕口の全モーメント-回転関係曲線を推定する有用な方法を提案した。3)伝統的な仕口のモデルのための特性値を計算する簡易で有用な方法について,全モーメント-回転関係曲線推定方法に基づいて提案した。(翻訳著者抄録)