抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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高知県四万十川流域の鷹取集水域のモミ天然林においてプロトン収支を明らかにした。主要な物質の降水による負荷量と渓流水による流出量を2011-2015年に測定した。樹木の養分吸収量速度は,隣接する流域における過去の調査から推定した。プロトンの生成量と消費量はそれぞれ,11.30kmol
c ha
-1yr
-1,10.60kmol
c ha
-1yr
-1であった。プロトン生成における大気の供給,窒素の形態変化,炭酸の解離,カチオンの吸収,アニオン無機化の寄与率は,それぞれ,3%,8%,56%,12%,21%であり,炭酸の解離の割合が最も大きかった。プロトン消費においてはカチオンの風化が大きな割合(94%)を占めた。カリウム,マグネシウム,カルシウムについて,土壌の供給量に対する植物の吸収量の割合は,それぞれ,98.2%,52.8%,57.2%であった。一方,これらの物質について土壌の交換態プールの平均滞留時間を計算すると,それぞれ,3.0年,6.2年,2.2年であった。これらの結果より,樹木は土壌のカリウムを最も効率的に吸収すること,カルシウムは土壌の交換態プールが少ないことが示唆された。プロトン収支法を用いて塩基性カチオンの風化速度を推定することで,多雨地域の天然林の物質循環の特徴を明らかにすることができた。(著者抄録)