抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
昭和39(1964)年5月8日の青函トンネル吉岡斜坑掘削開始,同年10月1日の東海道新幹線開業から,半世紀余の時を経て,平成28(2016)年3月26日,北海道新幹線新青森-新函館北斗間が開業した。北海道新幹線新青森-新函館北斗間は延長約148.8kmで,中間に在来線との共用走行区間約82km(青函トンネルを含む)が介在し,新幹線列車(1435mm軌間,最高速度260km/h)と在来線貨物列車(1067mm軌間,最高速度110km/h)が同じ軌道上で運行されるという,新幹線で初めての特色を備えている。共用走行区間における新幹線列車と在来線貨物列車の同時運行には技術的課題があるとされ,青函共用走行問題(以下「共用問題」)と呼ばれている。共用問題については,平成23年12月26日の政府・与党確認事項を基に,当面新幹線列車の最高速度を140km/hに抑えて運行する,暫定的な状態で北海道新幹線新青森-新函館北斗間の開業が実現した。共用問題の解決策の確立に関しては,国土交通省の青函共用走行区間技術検討WG(以下「WG」)で対策が審議され,平成28(2016)年1月18日に中間報告がされた。現状の北海道新幹線新青森-新函館北斗間は,新幹線列車は高速性が発揮できないうえに,新幹線列車・在来線貨物列車相互にダイヤが制約されるという,新幹線列車・在来線貨物列車ともに不都合な状況となっている。しかも,WGでの審議内容は鉄道運行に係る技術的案件に集中しすぎるあまり,大局観に欠ける経緯をたどっていると指摘しなければならない。本論文においては,青函トンネルに運行される貨物列車の社会的便益,その運行を阻害した場合の社会的損失,並行在来線の持続可能性等をレビューしながら,青函共用走行問題を地域学の観点から俯瞰する。そのうえで,青函共用問題等を根本的に解決する,北海道新幹線上での高速貨物列車運行を提言する。(著者抄録)