抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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噴火湾は,スケトウダラ,Gadus chalcogrammusの日本産太平洋個体群の主要な生育地である。水理学的および生物学的条件が初期発達時の本個体群の生残にどのように関連しているかをより良く理解するために,1991年から北海道大学水産学部の練習船うしお丸で水理学的観察と野外サンプリングを実施した。水理学的条件およびスケトウダラ仔魚とカイアシ類ノープリウス(仔魚の餌生物)の分布についてデータを収集した。チューニングVPAの計算によって推定された年級群強度は毎年変動し,1991年,1994年,1995年,2005年,および2007年に強い年級群が出現した。これらの年においては,津軽暖流水(TWW,>6°C,塩分>33.6)が,1月下旬に噴火湾に分布し,親潮冷水(OCW,<3.0°C,塩分33.0~33.3)は,2月中旬以降に湾内に流入した。対照的に,OCWの初期の流入に起因して2月上旬に冷水が本湾に広がった2010年において再生産の失敗が見られた。1991年から2013年にかけて,1月下旬に大部分のスケトウダラ仔魚が採集された。1月下旬の水深15mの温度と個体群の年級群強度の間に正相関が見られた(r=0.56,p=0.017)。一方,1月下旬におけるカイアシ類ノープリウスの密度と年級群強度の間には有意な関係は見られなかった(r=0.32,p=0.259)。以前の研究により,スケトウダラ仔魚の摂餌成功はOCWよりTWWにおいて高いことが示されている。これらの結果は,噴火湾の1月下旬において温暖な年の高い摂餌成功が,強い年級群もたらす可能性があることを示唆している。(翻訳著者抄録)