抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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愛知県佐久島における下部中新統日間賀層の上部層最下部にあたる砂岩泥岩互層には,流動化構造がよく保存されている.特徴的な構造要素としては,1)コンボリュート砂岩層の頂部にみられる葉理群の截頂状構造,2)コンボリュート砂岩層を覆うシルト岩層にみられる上・下位層からの小砂岩岩脈群の迸入,および,3)コンボリュート褶曲の非対称性と層理面に斜交する小岩脈群が示す“top-to-NNE”の剪断変形があげられる.これらの構造要素は,北北東への層面すべりにともない流体流出が生じ,難透水性のシルト岩層直下に流体が一時的に貯留され水膜を形成したことを示す.一連の流動化構造の形成は,砂泥互層中を上昇する余剰間隙水が難透水性層に遮られて直下に水膜を生成し,上位層の側方すべりに伴う破断を契機に急速に脱水され,過剰間隙水圧が緩和されていく現象として統一的に理解される.未~半固結の砂泥互層における層面すべりでは,水膜が滑動層の役割を果たす場合が考えられる.水膜は層理面と平行に生成し,短時間のうちに消滅してしまうため,その痕跡は見逃されやすい.未~半固結の多層系における変形機構を理解する上で,水膜や滑動の痕跡の認定が重要な視点となる.(著者抄録)