本研究では,大分県の小津留湧水,桑畑湧水,葛路谷湧水と比較対象の河宇田湧水(名水百選)を対象に,長期的な水文科学的な特徴と災害時における代替え水源としての有用性を評価した。対象期間には,2016年の熊本地震(震災)と同年の阿蘇山噴火(噴火)を含む。湧水の溶存成分は,湧水で異なり,年間を通して変化を示した。震災等の非常時における水質試験項目は,すべての湧水で判断基準を満たした。その中で,震災の影響はなかったが,噴火の影響はpHとNO3-Nで確認できた。湧水の湧出量は,非常時において,数時間で必要量(3 or 16L/人・日)を賄うことができる量であった。よって3つの湧水は,災害時における代替え水源として有用といえる。(著者抄録)