抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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寺院庭園は,17世紀以降の日本における庭園観光の発展にとって重要な役割を果たしてきた。それは世界でもユニークである。本論文では,まず,日本における寺院庭園関係を代表する歴史的出来事を以下のように整理する。1)8世紀に奈良の法華寺の阿弥陀浄土院の境内に構築された純粋なランド・ガーデンのタイプは,日本における最初の寺院庭園であった。2)9世紀から10世紀にかけて,京都近郊の庭園を含む高貴な貴族の邸宅が寺院に改築された。3)11世紀には純粋な庭園スタイルが確立され,このスタイルを採用した多くの寺院は14世紀まで建設された。4)石立僧と呼ばれる僧侶のグループは,12世紀から14世紀にかけて専門家として庭園の建設に従事していた。5)13世紀には,寺院の建物の背後に位置する庭園が禅宗寺院に導入された。6)14世紀の天竜寺や西芳寺のような壮麗な庭園は,禅僧の夢窓疎石が設計した。7)足利将軍によって美しい庭園のある北山殿と東山殿の別荘が造られ,14~15世紀にはそれぞれ金閣寺と銀閣寺に改築された。8)京都を中心とした禅寺には,16世紀頃に禅僧たちが多くの枯山水の庭園を造った。9)京都のあらゆる仏教寺院の寺には多くの庭園が造られ,江戸時代(17~19世紀)には寺院の造園の傾向が全国に広がった。それから,本論文は,江戸時代の宗教観光の繁栄を確認する。1780年に刊行された京都の総合ガイドブックである都名所図会や,1799年に刊行された京都の庭園ガイドブックである都林泉名勝図会を含む歴史資料を調べ,寺院庭園は京都の重要な観光スポットであり,宗教的な観光客のための主要な目的地の一つであると主張している。本論文では,日本の寺院庭園が,寺院と庭園の関係の長い歴史の中で展開され,それらが江戸時代の間に観光名所になったと結論した。これらの事実は,日本の庭園観光のユニークな特徴を表している。(翻訳著者抄録)