抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究は,シェア居住で形成された人間関係の現実性を確認することにより,良好な社会環境の形成に影響する因子を調べることを目的とする。今日,単身家庭の数の増加に伴い,伝統的な家族が担っていた機能と生活の方法に影響があり変化がある状況にある。シェア居住で得られた人間関係と相互支援は,住民の生活をさらに豊かにすると考えられる。調査方法は,大阪府の約40人が生活しているシェアハウスの検討を含んでいた。これは,3年間にわたる調査を実施し,8か月間にわたって当該住宅に滞在した著者によって行われた参加者観察の事例研究を含んでいる。また,17人の住民の面接調査を行い,社会環境の形成の観点から検討した。当該住宅のほとんどの居住者は,住宅の人々との接触と会話を望んでおり,これらの期待が実現されたシェア居住であることを満足していた。しばしば交換される挨拶と会話から生じる生活における精神的豊かさは,独居では得られず,他の人々と相互接触できるシェアハウスでの生活を通して実現されると考えることができる。ここに住む人々とのコミュニケーションから得ることができる生活の豊かさは,家族の場合のような信頼の強い人間関係から得られるものではなく,シェアハウスとしての再移動を仮定した可変的な人間関係から得られるものである。(1)当該住宅において,人間関係は主に6カ月以上で2年未満の居住歴を有する居住者に対して形成されることが確認された。関係と交流は,生活の主な場所の生活史とライフスタイルのタイプにより影響されることが分かった。居住者の交代が頻繁な変化の大きいシェアハウスにおける人間関係の中で,人間関係の親密性と相互作用の程度が居住履歴に依存して変化すると考えることができる。(2)使用される部屋の位置と共有空間が交流の程度に影響を及ぼすと考えられる。約30人の住民数を有するシェアハウスにおいて,密接すぎる関係を持たずに接触することが可能で,一定の距離を維持することができる空間計画を持つことが重要であることが分かった。本論文で考察した事例研究において,居住者は自由に他の住民との距離を選択し,他の住民とどのように接触するかを選択していることを確認した。(3)密接な関係を築いて,高いレベルの相互作用を持つ住民は,2階の台所において日常的に他の住民と,食品と料理を共有する傾向があることが確認された。食品と料理の共有は人間関係の形成と関連する可能性がある。シェアハウスにおいて社会環境の形成に影響を及ぼす要因を明らかにすることによって,本論文は単身家庭の生活における社会環境の形成について有益な知識を提示すると考える。(翻訳著者抄録)