抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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多摩川低平地水田地帯を流れる一ノ宮用水の生物に生息して改修された区間において,多摩市民を主体として,魚類を中心とする水生生物と環境条件のモニタリング調査を2016年および2017年4月,9月,11月に実施した.改修された区間では左岸側が木杭護岸に施工され,また,設置された橋の下に深みが造成された.改修前の水路区間にはドジョウMisgurnus anguillicaudatus,ギンブナCarassius auratus langsdorfii,シオカラトンボOrthetrum albistylum speciosumの幼虫など水田地帯に特徴的な生き物が生息しており,これらの生物を生息可能にする環境条件が残存していたと考えられた.改修された区間では水路床に砂泥が堆積し,沈水植物が生育した.また抽水・垂下植物が漸増傾向にあった.改修後の魚類の総密度は改修前に比べて遜色ない程度に回復したが,フナ属の密度が少ない傾向にあった.造成した深みは大型のフナ属および大量のドジョウの生息が確認されたが,大型のフナ属は砂泥・落葉落枝の堆積による水深の低下に伴い,生息が確認できなくなった.その後,市民を主体として泥上げを実施したところ,水深が回復し,大型のフナ属が確認された.改修された区間では抽水・垂下植物が漸増しており,この傾向は今後も続く可能性が高い.したがって,改修後の環境の変化とそれに対する魚類相の応答を把握するには今後もモニタリング調査を継続する必要がある.また,大型のフナ属の生息を可能にするためには,橋下の深みにおいて泥上げを実施し,水深を維持することが必要と考えられたことから,泥上げなどの維持管理の実施とその影響についてもモニタリングしていく必要がある.(著者抄録)