抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
セメントペースト,モルタルやコンクリートのようなセメント系材料の流動解析を行うためには,材料の流動特性を表すレオロジー定数を正確に得ることが重要である。本研究では,モルタルのレオロジー定数を2つのレオロジー試験で測定した。第1は球引上げ試験であり,第2は十字羽根回転粘度計を用いた測定である。既往研究によると,前者は高流動性モルタルのレオロジー定数を測定することができ,後者は細骨材と粗骨材を含むセメント系材料のせん断応力特性を評価することができる。さらに,本研究では,モルタルの流動構成式を導出し,移動粒子半陰法(MPS)を提案した。このMPS法を用いて,ミニスランプフロー試験の流動シミュレーションを試みた。本論文における実験的研究と解析的研究から得られた結果を以下の通りまとめた。球引上げ試験により,ミニスランプ試験モルタルと同じ混合比のモルタルのレオロジー定数(降伏値および塑性粘度)を測定した。試験結果で,ミニスランプフロー値が大きくなるほど,降伏値は低くなり,そして,2値間の関係は,指数曲線によって近似することができた。一方,塑性粘度とミニスランプフロー115mm到達時間とは正の相関があり,2値間の関係は線形関数によって近似できた。十字羽根回転粘度計を用いて,モルタルの流動曲線を種々のせん断条件に対して測定した。すべてのモルタルサンプルの流動曲線は,すべての剪断条件の下でBinghamモデルによって近似できることを確認した。そして,得られた流動曲線を,Binghamモデルによって近似し,すべてのモルタルサンプルのレオロジー定数を測定した。得られた流動曲線からモルタル試料の流動特性におけるチクソトロピー性を確認した。また,一般的傾向とは対照的に,ミニスランプフロー値が大きくなるほど,30%水セメント比のものでは塑性粘度が高くなった。十字羽根回転粘度計で測定したレオロジー定数は,モルタルの見かけ粘度の拡大に影響されることが示唆された。その結果,球引上げ試験の方が,ミニスランプフローのレオロジー特性の評価には適切であった。MPS法の境界条件として,壁境界にポリゴンモデルを適用して,ミニスランプフローをミニスランプコーンによって遮蔽する現象を,流動解析上で表現した。球引上げ試験で得られたレオロジー定数を採用して,モルタル試料のミニスランプフロー拡散がMPS解析によって再現する事を試みた。解析の結果は,ミニスランプフローの実験結果とよく一致した。さらに,ミニスランプ形状に関して,MPS法による解析は実際の測定形状を良く再現した。さらに,ミニスランプフロー解析に用いた解析条件に従って,スランプコーンによるモルタルフローの広がりをMPS解析によって予測した。解析に依って得られた結果は,スランプフローの実際の測定値を再現した。したがって,MPS法による解析及び球引上げ試験によって得られたレオロジー定数は,モルタル流動広がりに対して有効である。(翻訳著者抄録)