文献
J-GLOBAL ID:202002227872290093   整理番号:20A0751028

福岡県における落葉果樹病害の薬剤耐性糸状菌の現状と対策に関する研究

Occurrence and control of fungicide resistance in plant pathogens of deciduous fruit tree diseases in Fukuoka Prefecture
著者 (2件):
資料名:
号: 11  ページ: 91P  発行年: 2020年03月 
JST資料番号: X0532B  ISSN: 2423-9143  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 原著論文  発行国: 日本 (JPN)  言語: 日本語 (JA)
抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
近年,ナシ赤星病と黒星病の基幹剤であるDMI剤(demethylation inhibitors)およびブドウ褐斑病とべと病の基幹剤であるQoI剤(quinone outside inhibitors)の効果減退が疑われた.本研究では,これら薬剤に対する耐性菌の存在を明らかにし,その防除対策として代替剤の選抜とその有効性の評価を行った.1.ナシ赤星病:Gymnosporangium asiaticumによるナシ赤星病はナシに落葉や奇形果等の被害を与える重要病害の一つである.本病の多発要因を解明するため,福岡県八女地域の栽培圃場を対象に後ろ向きコホート研究を実施した.2013年のアンケート調査および2014年の圃場調査の調査要因のうち,少発と非DMI剤の使用は関連したものの,DMI剤とは発生と関係がなかった.これらの結果は赤星病に対するDMI剤の効果減退の可能性を示唆した.本県の赤星病菌のDMI剤感受性を苗木を用いた薬剤の防除効果試験で評価した.2013年に4栽培圃場のナシから採取したさび胞子に対してジフェノコナゾールおよびフェナリモルの防除効果は対照の感受性菌より低かった.さらに,これらの薬剤は2013年と2014年に福岡県5地域の‘カイヅカイブキ’から採取した小生子に対しても,防除効果が低かった.2013年と2014年に実施した圃場試験において,本病に対するジフェノコナゾールおよびフェナリモルの防除効果は低かった.さらに,2014年と2015年に各種薬剤の防除効果を圃場試験で評価した結果,SDHI剤(succinate dehydrogenase inhibitors)のペンチオピラド,多作用点阻害剤(MsI剤,multi-site inhibitors)のチウラムの防除価が高かった.これらの結果から,福岡県にDMI剤耐性ナシ赤星病菌の存在が明らかとなった.2.ナシ黒星病:Venturia nashicolaによるナシ黒星病はナシ栽培において最も被害を与える病害の一つである.福岡県の一般栽培園から採取した分生子とナシ苗木を用いた薬剤防除試験の結果に基づいて,本菌のDMI剤感受性を評価した.2007年に8圃場から採取された分生子に対するDMI剤の防除効果は,対照の感受性菌と比較して,ジフェノコナゾールで高く,ヘキサコナゾールおよびフェンブコナゾールでやや低く,フェナリモルでは低かった.2015年に13圃場から採取された分生子に対するDMI剤の防除効果は2007年よりそれぞれ低く,DMI剤に対する本菌の感受性は低下していた.ナシ苗木を用いた薬剤防除試験で代替剤と作用機作の異なる2種類の薬剤の混用効果を評価した.その結果,QoI剤のマンデストロビンの防除効果が優れ,ヘキサコナゾールとイミノクタジンアルベシル酸塩の混用,ジフェノコナゾールとチウラムの混用およびマンデストロビンとチウラムの混用はそれぞれの単剤より防除効果が優れた.各種DMI剤の防除効果を圃場試験で比較した.ジフェノコナゾール,ヘキサコナゾール,テブコナゾールの順で防除効果が高かった.また,マンデストロビンおよびマンデストロビンとチウラムの混用はジフェノコナゾールより防除効果が高かった.3.ブドウ褐斑病:Pseudocercospora vitisによるブドウ褐斑病は葉を黄変,落葉させる.既報の菌叢ディスクを用いた寒天平板希釈法では感受性菌株を耐性と判定されることがあった.このため,渡辺(2009)の方法を参考に菌糸磨砕液を用いた検定方法に改良した結果,判定が明確になった.本菌のQoI剤感受性を改良寒天培地希釈法で評価した.2007~2009年に県内から採取された19圃場106菌株のうち97菌株,2017年に採取された7圃場59菌株のうち53菌株が耐性菌であった.また,耐性菌株に対する各種薬剤の防除効果をブドウ鉢植えを用いた接種試験で評価した.アゾキシストロビンの防除価は低かったが,DMI剤のテブコナゾールおよびフェンブコナゾールの防除価は高かった.耐性菌が発生している一般生産者の加温ハウスで前述の薬剤の防除効果を評価した.開花前から幼果期にかけて2~3回薬剤散布を実施した結果,接種試験と同様な結果が得られた.4.ブドウべと病:Plasmopara viticolaによるブドウべと病は世界的に最も被害を与える病害の一つである.本菌のQoI剤感受性をPCR-RFLP法で評価した.2011年に県内主要産地8圃場,24罹病葉と2011年と2013年に場内1圃場14罹病葉および2017年に採取した65罹病葉を検定した結果,全て耐性菌であった.2011年から2013年に耐性菌発生圃場において薬剤効果試験を実施した.QoI剤のアゾキシストロビンの防除価は低く,CAA剤(carboxylic acid amide inhibitors)のマンジプロパミドおよびCAA剤とMsI剤の混合剤のベンチアカリブイソプロピル・マンゼブの防除効果は高かった.また,卵菌類による病害に対して発病抑制効果があることが知られている亜リン酸肥料も発病を抑制した.本研究は,福岡県の落葉果樹病害で薬剤耐性菌が発生し,選抜した代替剤,すなわち,ナシ赤星病ではペンチオピラドとチウラム,ナシ黒星病ではマンデストロビンと多作用点阻害剤との混用,ブドウ褐斑病ではテブコナゾールとフェンブコナゾール,およびブドウべと病ではCAA剤等の非QoI剤により発生を抑制できることを明らかにした.(著者抄録)
シソーラス用語:
シソーラス用語/準シソーラス用語
文献のテーマを表すキーワードです。
部分表示の続きはJDreamⅢ(有料)でご覧いただけます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。

準シソーラス用語:
シソーラス用語/準シソーラス用語
文献のテーマを表すキーワードです。
部分表示の続きはJDreamⅢ(有料)でご覧いただけます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。

分類 (3件):
分類
JSTが定めた文献の分類名称とコードです
果樹  ,  菌類による植物病害  ,  微生物に対する農薬 
物質索引 (10件):
物質索引
文献のテーマを表す化学物質のキーワードです
引用文献 (127件):
もっと見る

前のページに戻る