抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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北海道の天然林におけるエゾマツ資源の減少を背景として,人工造林によるエゾマツ資源の回復が期待されている。エゾマツ造林の成功率向上に資するため,北海道東部の阿寒湖周辺の2~18年生のエゾマツ若齢造林地約30か所において,造林木の生育状況と立地環境を調査し,造林木の生存と樹高成長に及ぼす各種の立地環境要因の影響を解析した。造林木の生存率は,2齢級の造林地で40%を下回る調査地がいくつか見られたものの全体的には比較的高く,生存率50%以上の調査地が全調査地数の87%を占めた。樹高成長に関しては,林齢18年生までで平均樹高が3mを超える調査地はなく,既往の報告と比べると全般的に小さかった。エゾマツ造林木の生存と成長に及ぼす立地環境要因の影響を一般化線形モデル(GLM)によって解析した結果,造林木の生存率には,標高,斜面傾斜,斜面方位,散乱光透過率(DSF),上木の針葉樹比率,およびDSFと上木の針葉樹比率の交互作用が影響を及ぼしていることが示唆された。一方,造林木の平均樹高には,林齢,DSF,上木の針葉樹比率が影響を及ぼしていることが示唆された。GLMによる解析結果を用いて造林木の生存率を散乱光透過率DSFとの関係で予測したところ,生存率はDSFが小さいほど低くなり,とくにDSFが約35%より小さい領域では生存率に及ぼす針葉樹比率の影響が強く現れ,針葉樹比率が高いほどDSFの低下にともなう生存率の低下が顕著になると予測された。同様に,造林木の平均樹高をDSFとの関係で予測したところ,平均樹高はDSFが大きいほど高く,上木の針葉樹比率が低いほど高くなった。これらの結果から,DSFが約35%を下回るような暗い天然林内でとくに上木の針葉樹比率が高い場所にエゾマツを樹下植栽する場合には,DSF35%以上を確保するために少なくとも900m
2程度のギャップを作出するような更新伐が必要と考えられた。(著者抄録)