抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究の目的は,大学生に対するアンケートに基づいて,「木を使ったものづくり活動(WCA)」における参加者の個人差を明らかにすることであった。活動の効果を明らかにする各グループの個人差を調査する設計教育を含む木を使ったものづくりに関する研究は少ない。本研究では,現地調査,計画,デザイン,制作,プレゼンテーション,地域への貢献,および環境教育に関連するWCAの活動を通じた建築設計教育からの影響に着目する。設計教育を内包したWCA活動は,環境教育と,京都,南丹市美山町の山村における地域貢献に発展した。しかし,教育効果は参加者によって異なり,最良の教育方法の選択が期待される。またそのためには個人差の解明が必要である。以下は,研究を通しての知見である。1)参加したWCAの影響に関するアンケートに基づいて,3つの構成要素が抽出される。それは「地域への貢献」,「森林保全」,「木を使ったものづくり」である。また参加者は「地域貢献」,「ものづくり」,「中庸」,「環境保全」として4つのグループに明らかにされている。2)地域への貢献のグループにおける学生は,ポジティブな態度を有しながらの様々な経験に基づいて,地域と環境保全への寄与の意識を高める。彼らは,彼ら自身の経験と実感が,環境保全の意識と行動に影響すると捉える。3)デザインのグループの学生は,客観的に地域を捉える傾向がある。彼らは,ホームステイ等の地域交流を,現場調査とヒアリング調査を含む制作品デザインのための方法として感じる。制作プログラムの持続可能なデザインを通して,彼らの森林保全意識を向上させることが可能である。4)中庸のグループにおける学生は思考を深め,また実物大制作物の生産活動を通して意欲を示している。しかし,彼らの多くは控えめで,中庸的な行動をとっている。5)環境保全のグループにおける学生は,WCA活動に参加する理由ではない過剰な作業のため,効果を感じることができない可能性がある。彼らは,森林保全と林業のプログラムを必要とする可能性がある。また彼らは,地域住民や友人との会話が,環境保全や行動に影響を与えると捉えている。本研究では,WCAの効果の解明に基づいて参加者の違いの確認を研究している。WCAの教育効果を高めるためには,様々な側面に対するケアが必要であることが明らかにされる。本研究では,限られた数の参加者を対象としたが,設計教育を含む木を使ったものづくりに関する研究として,いくつかの結果を得たと言える。他のWCAとの比較,および地域住民に関する研究は将来の課題である。(翻訳著者抄録)