抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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以前の複合環境評価報告において,回帰分析(目的変数:温度,説明変数:非特異的尺度)を用いて“非特異的尺度”(“寒暑の印象”や“涼暖の印象”)を明らかにするために,視覚および聴覚因子と熱因子の複合効果を調査した。その結果,温度に対する“熱い-寒い”や“暖かい-涼しい”の印象を表す回帰勾配は減少し,これらのシフトは,温度によって分布する“注意資源”が視覚的および聴覚的要因の影響により減少することを示唆した。この反応は“非特異的尺度”で顕著に示されることが示唆された。しかし,この課題についてはほとんど報告されておらず,“注意分布”と“快適-不快”要因との関係についての報告はほとんどない。さらに,総合快適感の要素“快適-不快”は,“調和感覚申告”と密接な関係を有していることが報告されている。したがって,総合的な快適性の要因と環境要因の影響との関係を評価するときには,“調和感覚申告”の要因を含める必要がある。そこで,本研究では,熱的・聴覚的要因が,“熱い-寒い”や“暖かい-涼しい”の要因と印象との関係の観点から,総合快適感の要素“快適-不快”に影響を及ぼすことを認識した。以下の知見を得た。(1)“快適-不快”と“調和感覚申告”因子と温度との関係を明らかにするために,分散分析を用いた。結果として,どちらの因子も低温または高温のいずれにおいても聴覚因子の影響に差を示さなかった。しかし,2つの温度範囲は,「注意の分布」に1つの大きな違いを示し,それは,「中程度の応力領域(Wyon,1970)」に関連している可能性がある。(2)図中の「快適-不快」「調和している-調和していない」の総合快適性申告を比較すると,かなり類似していた。(3)聴覚群間の差を明らかにするために回帰分析を用いた。(目的変数:“寒暑の印象”と“涼暖の印象”,説明変数:“快適-不快”)。その結果,涼しい聴覚グループは,BG(背景条件)よりも“快適-不快”に大きな影響を与えた。“寒暑の印象”“涼暖の印象”と“快適-不快”は線形の関係を示した。しかし,暖かい聴覚グループの方はBGよりも回帰勾配が小さく,注意および熱的要因の影響が回帰式勾配の違いに関連していることが示唆された。(4)本研究では,一元配置分散分析を用いて“快適-不快”と“調和感覚申告”の関係を調査した。結果は,聴覚的要因が調和の取れていない環境で“快適-不快”の要因に影響を与えることを示した。しかし,調和のとれた環境には影響がなかった。この違いの理由は,“調和感覚申告”と聴覚要因の間の相互作用であった可能性がある。(翻訳著者抄録)