抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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・塩基性試薬による還元と金属による水素化は,不飽和エノンを飽和ケトンに変換するためのよく知られた方法である。しかし,酸性条件下での還元の報告はほとんどない。ヨウ化水素の酸性および還元能力に焦点を当てた。ここでは,HIを用いた共役エノンの化学選択的還元を報告する。HIによる共役エノン(1a)の還元を調べた(Table1)。1aを室温の水性HIまたは気体HIと反応させると,3位でヨウ素化された化合物(2a)が得られた(エントリー1および2)。1aをクロロベンゼン中で水性HIで加熱すると,還元生成物(3a)が得られた(エントリー3)。HIの当量,溶媒および温度を調べて,エントリー12の反応条件が,優れた収率(97%)で所望の生成物を与えた。HIの代わりに他のハロ酸を検討した。そして,水性HClとHBrの両方が望ましい3aの生成しなかった(エントリー13および14)。様々な基質を調べた(スキーム1)。110°Cのトルエン条件下(条件A)で収率が満たされない場合,o-キシレン中で温度を上げた条件(条件B)によって収率を上げることに効率的であった。カルコン誘導体(1b-i)は優れた収率で対応する生成物を与えた。R
1がアルキル基の場合,3の収率はα-水素量(3j-m)に応じて低下した。三置換オレフィン(1o-q)の反応は中程度から高収率で進行した。しかし,オレフィン上のフェニル環の化合物不足の場合,還元3rおよび3sの生成は認められなかった。α,β-不飽和カルボン酸化合物の反応も検討した。金属または塩基によるα,β-不飽和カルボン酸の選択的還元は,しばしば過剰量の還元試薬を必要としたが,著者らの方法は試薬の量の変更を必要としなかった。オレフィンを置換したフェニルを有する化合物(1t-w)は,B条件下で,中程度から高収率で進行したが,オレフィン上にフェニル環のない化合物(1x,y)は,B条件下でも進行しなかった。残念なことに,エステルとアミド化合物は,1uと3uを生成する加水分解が進行するために,低い収率で3ua-ueを生成した。この反応では,HIのMichael型付加による生成ヨウ素化化合物2後に還元が起こると考えられる。カルコン中のCF
3と1dの高い反応性はアニオン機構を示唆した。さらに,p-メチル基のHammett置換基定数は,アニオンとラジカルとで逆の効果であった(σ
p-=-0.17
1,σ
p・=0.11
2)。したがって,著者らは,ラジカル機構(スキーム2)の多分得るために,ヨウ素化化合物2bと2cの競合実験を行った。その結果,3cの収率を3bの収率を上回ったので,ラジカル機構を示唆した。それらの結果から,著者らは図1で示す反応機構を提案した。還元はラジカル機構またはアニオン機構または両方によって進行すると考えられる。(翻訳著者抄録)