抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本稿は,環境保全型稲作の取組率に影響を与える要因を明らかにするために,宮城県の2010年農林業センサス・農業集落カードの旧市町村データを利用して,空間ダービンモデルによる分析を試みた.分析結果より,以下3点が明らかになった.第一に,モラン統計量と空間ダービンモデルの推定を通じて,環境保全型稲作取組率に正の空間的自己相関が存在することを確認することができた.第二に,直接効果として,環境保全型稲作では「販売金額300~500万円経営体率」が正の影響を,「中山間農業地域ダミー」が負の影響を与えることが明らかになった.第三に,間接効果として,環境保全型稲作,化学肥料の低減及び化学農薬の低減では「65歳以上農業従事者率」が負の影響を,化学肥料の低減,化学農薬の低減及び土づくりでは「雇用確保率」が負の影響を与えることが明らかになった.この結果から,既存の環境直接支払制度だけでなく,環境保全型稲作に取り組むことで増加する労働力負担を補うための支援も重要と考えられる.今後の課題として,集落単位のデータによる分析とパネルデータの活用が挙げられる.特に,環境保全型農業取組率は2005~2015年の間で大きな変化がみられることから,経時的な変化を把握できる点においてもパネルデータを利用した分析が求められる.(著者抄録)