抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究の目的は,自然環境変動の大きいアフリカ半乾燥地域の農村部住民が困難を解決する上で重要な役割を果たす非公的社会保障の貢献について通時的に考察することである。特に,比較的状況の穏やかな時期から危機的状況下まで期間を通して,地縁のセーフティネットについてブルキナファソ北東部の事例(石本2010)を基に,地縁を越えたセーフティネットについてザンビア南部の事例(石本ら2013)を基に検討する。また,後者については,急速に浸透したICT機器の影響と関連付けて論じる。公的社会保障が十分に機能せず,かつ,自然災害の頻発するアフリカ乾燥地農村では,知人同士のセーフティネットが重要な役割を果たす。ブルキナファソ北東部の事例では,地縁のセーフティネットの中で食料を平準化する消費システムが機能することが明らかとなった。食料不足に陥った世帯は居住集団の他世帯の食事に加わり共食(きょうしょく)することで,食事確保が可能となっていた。この食料消費システムは,食料提供を受けた世帯が調理労働力を提供し,また日常的交流を積み重ねることで維持されていた。ザンビア南部州農村部の住民は,携帯電話の普及以前に知人同士の支援は対面交渉後に行われ,支援を受けるためには物理的距離が制限要因となっていた。その状況を彼らは携帯電話を活用することで克服し,遠方の知人に対面せずとも支援依頼を行うことが明らかとなった。(著者抄録)