抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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北海道では,冬のたびに雪による人身事故が発生している。2006年の大雪または後の北海道の雪による死亡者数は,日本において最大の数である。傷害要因の内容では,すべての事故の60~70%が,屋根からの落下や梯子からの落下など,屋根の雪下ろしが原因であった。日本の建築基準法に従えば,屋根に上ることが伝統的な地域だけが雪下ろしによって屋根への雪荷重を減らすことが可能である。しかし,雪荷重の低減は県条例によって認められていない。それにもかかわらず,雪下ろしが引き起こす事故が頻繁に発生している。雪下ろしによって引き起こされる事故を減らすため,著者らは,2006年またはその後の統計データを用いて事故リスクを分析し,次に,北海道で建設された軸組木造住宅が受ける雪荷重に対する性能を分析した。また,著者らは,リスク分析で得られたそれらの結果に基づいて除雪方法を提案した。人身事故の統計データを用いたリスク分析において,それぞれの振興局管内における積雪条件と高齢化率によって影響を受ける死亡率に注目した。その結果,死亡率は年最大積雪深の平年値とともに増加した。また,高齢化率は死亡率に大きな影響力を有した。死亡率と通常最大積雪深で除した年最大積雪深である積雪深比との関係においては,両方で積雪深比が同様であったとしても,2014年から2019冬までの死亡率が2006年から2013年までの比率より大きかった。これは,損傷リスクが,高齢化率の増加のような最近の社会的状況によって上昇することを意味する。また,積雪深比が1.0より小さい場合でも,死亡率が大きいことに注目することも重要である。そして,著者らは損傷因子と事故期間との関係を分析した。屋根からの落下に起因する事故のピークは雪荷重が増加した2月に現れた。屋根の雪下ろしが雪荷重によって引き起こされたという事実を解析によって明らかにした。北海道で建設された軸組木造住宅の雪荷重に対する性能の解析では,著者らは,建設された各期間における小屋梁と垂木の損害確率関連の屋根積雪深を計算した。小屋梁が確率5%で損傷するときの積雪深は1.0mであり,建設期間とは無関係であった。これは,屋根上の雪荷重が除雪で減少することを考慮して設定されたことを意味する。他方,垂木で損傷するときの積雪深は,新築の家ほど深かった。最終的に,屋根の不要な雪下ろしを抑止するために,著者らは,解析の上記結果に基づいて,雪荷重/雪庇に耐える能力を考慮して,屋根の雪下ろしの判断基準を提案した。著者らは,この基準が除雪の不明瞭な動機に残る状況による事故の低減に有効であると考える。(翻訳著者抄録)