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J-GLOBAL ID:202002268273056794   整理番号:20A0703605

米国における転移焦点化精神療法の実践・研究動向と日本での実践可能性の検討

Transference-Focused Psychotherapy as empirically based treatment for borderline personality disorder: A review of literature and consideration of cultural modification to fit for Japanese patients.
著者 (1件):
資料名:
号: 19  ページ: 99-110 (WEB ONLY)  発行年: 2020年03月15日 
JST資料番号: U0514A  ISSN: 2433-4618  資料種別: 逐次刊行物 (A)
発行国: 日本 (JPN)  言語: 日本語 (JA)
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抄録/ポイント
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本論は,カンバーグが発展させた対象関係論をベースに米国で開発された転移焦点化精神療法Transference-Focused Psychotherapy(TFP)を概観し,日本の臨床に導入する際にどのような文化的修正が必要になるかの研究的展望を論じたものである。TFPは,境界性パーソナリティ障害の治療のためにデザインされた力動的精神療法であり,「実証的に支持された療法(EST)」(APA・アメリカ心理学会)としてリストアップされている。境界性パーソナリティ障害を有する患者の破壊的行動(自傷行為や自殺企図など)の減少に有効である他,リフレクティブ機能が向上することが実証されており,日本で既に実践・研究されているDBT(弁証法的行動療法),SFT(スキーマ焦点化療法),MBT(メンタライゼーション・ベースド療法)と並んで効果的な精神療法とされている。対面式で週2回ないし1回の面接を最低1年間継続するという面接形式は現代日本の臨床実態にも合っており,形式的には導入可能かもしれない。しかし,日米のセラピストのトレーニング形式の違い,文化差,および各文化特有の対人関係における考え方,感じ方,振舞い方の違いは,TFPが治療ターゲットとしている境界性パーソナリティ障害の病理の捉え方に影響を及ぼすかもしれず,今後日本の臨床により適合するような文化的修正の研究・検討が必要になると思われる。(著者抄録)

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