抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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テフ(Eragrostis tef)は世界で最も小さい穀類の1つである。これはアフリカ北東部で栽培され,エチオピアとエリトリアでほとんど独占的に食用作物として栽培されている。しかし,面積当たりの収量が低く,トウモロコシのそれの半分以下であるのに,他のいずれの作物よりも栽培面積が大きいことから,これらの国において主要作物となっている。さらに,エチオピアにおける栽培は,この数十年間,実質的に増加した。この穀物の重要性は,高収率が重要視される現代の農業経済学からの展望では理解が困難であり,テフがなぜこの地域で重要であるという疑問が出てくる。本論文は,この疑問に対し,著者が人類学的調査を実施したマロ民族の人々の事例を検証することで取り組んでみた。約80000人のマロ民族の農家は,海抜(asl)約1000~3000メートルの間の標高にある,エチオピア南西部の急峻な山岳地域に居住している。現在,1000~2000メートルの間の低地で主要穀類として播種されているテフは,最近導入されたものではないことが推測される,いくつかの独特な技術を用いて栽培されている。しかし,地域の記録によると,その現在のような広範囲の栽培景観は比較的新しいものであり,50年未満と推定される。低地におけるカッサバおよび他の新しい作物の導入のようないくつかの因子が,その栽培における最近の増加に関連している。しかし,増加に関する最大の要因は,主要材料として穀類で作る,ふわふわとした酸っぱいパンケーキが浸透したことであり,これは一般的にインジェラとして知られるエチオピアの国民食で,地元食であり,1970年代中期のエチオピア革命後に浸透したもので,人々の間で人気があるということであるかもしれない。したがって,マロ民族の事例は,食品と農業が密接に関連していることによる発展のダイナミクスを例証したものである。(翻訳著者抄録)