抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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酪農・畜産とは本来,土-草-家畜の養分循環の中から乳肉等の食料を得る農業の形態であった.しかし,近年は土地生産性と家畜生産性の向上を目的とし,輸入される肥料や濃厚飼料に由来する養分の流入量が増大した結果,酪農場への過剰な養分蓄積が粗飼料品質を悪化させ,環境への負荷を高めている.これを改善するには,飼養頭数と草地面積のバランスを適正化した上で,必要最小限の養分投入によって粗飼料を生産することが重要である.北海道では50年以上継続されている牧草の長期3要素試験の結果から,i)窒素を控え,ii)リン,カリウム,マグネシウム,カルシウムを十分に施用し,iii)土壌pHを適切に維持する施肥管理方針が提示されている.これに基づき,採草地では道内の地帯区分と土壌型ごとに,マメ科牧草混生割合や土壌肥沃度に応じて窒素,リンおよびカリウムの年間施肥量を設定している.一方,放牧草地においても,牧草の採食とふん尿排せつに伴う養分循環を考慮した標準施肥量が設定されている.牛舎から産出される家畜ふん尿由来の堆肥やスラリー等自給肥料を適切に肥料換算する方法も開発された.経営者は圃場ごとに年間必要養分量を把握した上で堆肥やスラリーを適切に肥料換算し,いずれの養分もやり過ぎにならないよう自給肥料の利用計画を立案することが重要である.これらの草地の診断や自給肥料の肥効評価には,いくつかの調査技術やデータ集計の知識を要するため,地域に農家を支援する体制を構築し,草地管理技術者を養成する必要がある.(著者抄録)