抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本稿では,日本で第三番目として完成した,最初の円形公立学校建築として,旧倉吉市立明倫小学校に関して判明した,以下のことを記述する:(1)この円形型学校建築の詳細な背景と配置を,明倫小学校によって所有された「学校沿革史(倉吉市立明倫小学校史)」に基づいて説明した:(2)坂本鹿名夫を含む専門家によって解明された円形型学校建築の利点と短所を新聞と雑誌から構成し,次に教師と学生によって解明されたその利点と短所を,「円形校舎をどのように生かすか(「学校沿革史」の記事の一つ)」に従って明らかにした。坂本鹿名夫がこの円形学校建築,倉吉市立明倫小学校の,1955年2月に建設を始め9月に完成したが,実際の建設の機会を掴んだのは,鳥取県議会議員で従兄弟であった,古井喜実を通じてであった。この建物は,既存の建物を除去し,次に校門の前面にそれを配して建設し,明倫小学校の新しい顔として象徴的に配置した。教師と学生の両者は,円形型学校建築の利点の1つとして,動線の集中により短縮された移動距離を指摘し,坂本が想定したように,円形形式に基づく動線計画が有効に機能したことを証明した。さらに,多くの扇形教室は機能的で,その黒板が光を反射しないで良好な可視度を有し,従って,それらは大きなクラスに適しているという利点があることを見出した。さらに,専門家(特に坂本鹿名夫)によって提唱された利点は,円形形式の幾何学的性質を基にする,校庭と校舎の有効利用であり,建設材料減少による経済的な建設,建設業者が魅力として認識される多くの利点を含むものであった。この意味で,新聞や雑誌のようなマスメディアを通して会話の話題として,円形型学校建築を早期に踏み出すための坂本鹿名夫のアプローチは,この後,円形型学校建築が日本中で広く受け入れられたという事実からも,管理感覚として優れていると評価できる。一方,円形型学校建築の短所は,教室による日照と日射の均一性,教室の背からの昼光による先生のまぶしさ,および中央部分(螺旋階段と通路)からの騒音のような,円形形式の採用を通しての欠点で,明らかに,円形型学校建築が機能的不完全と見なせるという事実が,学校建築としてのその重大な欠陥と確かに関連していることを示している。したがって,本論文では,経済効率を過大に評価することで,円形型学校建築の現実と機能的不完全性を明らかにした。円形型学校建築のこの不均衡な特性は,一旦普及しているが,採用が急激に無くなるので,非常に重要な理由であると結論づけることができる。(翻訳著者抄録)