抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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超小型モビリティの一つであるミニカーの活躍が期待されている。ミニカーは小回りが利き運転しやすいことや駐停車スペースを広く取らないことから,高齢者の移動手段や小口配達用の車両として適していると評価されている。一方で衝突安全性に関しては,法規や自動車アセスメントにおいて安全基準が定められておらず,研究の取り組みが少ないようである。ミニカーは普通乗用車や軽自動車に比べ車両が小型であるため,クラッシャブルゾーンの確保が容易ではなく,前面衝突時に車体変形がキャビンまで進行し,乗員が内装部品に衝突し受傷する可能性がある。これまで本研究ではミニカーを用いて衝突速度55km/hのフルラップ前面衝突実験を実施した。このとき,キャビンまで至る車体変形のためにステアリングホイールが大きく後退し,乗員の頭部および胸部と衝突するという課題が確認された。そこで本論文ではCAE(computer aided engineering)を用いて,実験車両の前部車体フレームおよび足回りの構造を再現した有限要素モデルと内装部品および乗員を再現したマルチボディモデルを構築した。車体構造の改善として,車体の前部フレームの剛性を上げることによりキャビンの変形を抑制した。併せて剛性を上げたことにより最大減速度が上昇するため,衝撃吸収部材を追加して車両の最大減速度を従来と同等とした。またシートベルトのプリテンショナーとフォースリミッターを追加し,シートベルトの拘束力を調整することで,ステアリングホイールと胸部の衝突を回避させつつ,胸部および頭部の最大減速度を抑制した。本論文における車体構造と乗員の拘束方法の改善により,胸部傷害値である胸たわみおよび頭部傷害値であるHIC
36を傷害基準値未満に低減できることを示した。(著者抄録)