抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究は,日本全国および広島県の地域に焦点を当てた,森林資源のライフサイクルにおける環境動態と,マテリアルフロー分析およびライフサイクルアセスメントを通じてその利用を明らかにすることを目的とした。さらに,建築業にかかわる関係者の視点から,環境影響低減のための効果的な対策について議論した。結果は以下の通りであった。1)マテリアルフロー分析 マテリアルフローは,森林資源の全体的なライフサイクルを表すために,2016年を基準に設定したが,それには実際に,建設産業,林業と製材,そしてパルプ化と製紙業におけるプロセスを含めた。また,大きな出力を有するプロセスに関しては,実際に可能な限り多くの区分に細分化した。結果により,日本(全国,2010年)と広島県(2012年)と比較して,木材消費量において,著者らの研究の出力結果(2016)はわずかな増加しか示さないこと,また,日本の各地域と広島において,輸入に対する国内生産の比率はほぼ1:1であったことが分かった。しかし,国産材の消費については,日本では約80%,広島では40%以上しか建築物に対して使用されていない。この皆伐の違いは,建設業における資源利用の方法に対して,最大限に注意深く考察するべきであることを示唆した。さらに,本研究で開発したマテリアルフローは,各プロセスにおける支配的要因を定量的に明らかにした。2)ライフサイクルアセスメント 開発したマテリアルフローに基づき,環境負荷を,LCAを用いて計算し,建設業における負荷を低減する方法を検討した。単一の指標である統合化からの結果において,建築物に使用される森林資源が引き起こした負荷は,日本では40%を少し超え,広島県では20%以上であった。いずれの場合においも,主要な要因は,成長するスギとヒノキの丸太の製造または造林と伐採を含むプロセス区分であった。4つの保護対象物(人間の健康,社会的資産,生物多様性および一次生産)から成る被害評価の結果,一次生産において,同じセグメントが被害に対して最も信頼性があり,それが統合化に有意に影響することが分かった。また,一次生産の主要な要因は,スギとヒノキの森林資源の消費であった。他の被対象物の観点からは,ほとんど全ての影響は製紙およびパルプ工業によって引き起こされた。影響評価の結果に基づいて,丸太製造プロセスに関する感度解析を研究した。結果として,再植林率の影響が非常に大きいことを示した。本事例研究では,日本全国で35%,広島県で23.7%に設定した。したがって,これらの改善は不可欠である。再植林率の問題が解決できれば,次の最大の影響は各プロセスにおける化石燃料消費である。このことは,製材プロセスにおける化石燃料消費の削減も非常に重要であることを示唆している。(翻訳著者抄録)