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J-GLOBAL ID:202002288721891298   整理番号:20A0325558

蓄積電荷測定法による電荷注入障壁の精密決定手法の開拓

Development of Precise Determination Method of Charge Injection Barrier by Accumulated Charge Measurement
著者 (2件):
資料名:
号: 33 12月  ページ: 58-65  発行年: 2019年12月 
JST資料番号: L5491A  ISSN: 0919-3383  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 解説  発行国: 日本 (JPN)  言語: 日本語 (JA)
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半導体・金属界面の接合状態は電子素子の性能を左右する要因の一つである。例えばショットキー接合における電荷注入障壁(注入抵抗)の測定に関しては,これまでに多くの報告がある。一般的に,無機半導体では一方の電極をオーミック接合にとって,もう一方の電極・半導体界面の電気特性を調べるのが主流である。このような手法は,有機半導体・金属界面には適応しづらい。これは有機半導体と無機金属界面では良質な接合が形成しづらく,無機半導体に比べてピンホール効果の影響を受けやすくなるからである。代わりの方法として,紫外光電子分光(UPS),光電子収量分光(PYS),逆光電子分光などの分光技術を用いて,有機半導体のイオン化エネルギーを見積もり,電荷注入障壁を推定する手法が使われてきた。また,サイクリックボルタンメトリーから分子の酸化還元電位を求め,これらと金属の仕事関数の差を算出する方法もある。しかし,これらの測定に用いる素子は,近年広く研究されている有機エレクトロニクスのデバイスの構造と大きく異なることが多い。また測定環境も超高真空,大気下などで条件が異なる。最も好ましいのは,実際に作製した有機トランジスタ,太陽電池などの素子をそのまま用いて,電荷注入障壁を求めることである。我々は近年,蓄積電荷測定法(Accumulated Charge Measurement)という簡便な変位電気測定から電荷注入障壁を直接測定する手法を報告した。この方法はコンデンサー型の素子を作成し,有機半導体膜内の蓄積された電荷の印加電圧依存性を測定し,そこから有機半導体内部の電荷注入量と内部電圧を割り出し,電荷注入障壁を算出する。この手法の一つの課題として,有機半導体膜の膜厚によって値が変化してしまう可能性があるので,本研究ではその影響を調べた。実験内容としては,コンデンサー型試料の有機半導体膜厚を変化させ,ACM測定を行った。半導体にはフタロシアニンを用いた。これまでの先行研究で,ACM法を用いて正しい電荷注入障壁を見積もれているからである。結論から述べると,75nm以下の薄膜においてはACM測定で正確に電荷注入障壁が求まることが分かった。コンデンサーの電気容量を解析すると,75nm以上の膜においても部分的に電荷は注入されていて,その程度は膜厚が増加するにつれて,電荷注入量が多くなっている傾向があった。一方で印加電圧を解析し,フタロシアニン・金属電極界面からのトンネル侵入長を調べると膜厚に反比例していた。すなわち,トンネル侵入長からは膜厚が厚いと電荷キャリアが注入しづらくなっていることを示唆している。これらを総合的に解釈すると,膜厚が厚くなるにつれ,粒界などの薄膜に由来する電荷トラップが増加し,一度注入された電荷はキャリアに局在してしまう。ACM測定は電荷の注入と抽出(放出)を繰り返しているので,トラップに補足されたキャリアが完全には抽出できず,結果的にフタロシアニン薄膜内にとどまり,見かけの電荷が膜厚に比例して多く注入されているように見えると解釈できる。これはキャリアトラップに応じて,電荷注入障壁が大きくなることを示しており,薄膜の状態がどの程度電荷注入に影響を与えているのかという情報を提供できると考えられる。今後の方針として,測定精度に関していえば,この問題を解決しておく方が良い。現在,この新しい課題に対しての解決策も進めている。さらにフタロシアニン以外の材料を用いて,分子の次元性による膜厚依存性の評価も進めている。(著者抄録)
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分類 (1件):
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半導体-金属接触 
物質索引 (1件):
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引用文献 (3件):
  • H. Tajima et al., Org. Electron., 34, 193 (2016).
  • T. Kadoya et al., J. Phys. Chem. C., 121, 2882 (2017).
  • H. Tajima et al., J. Phys. Chem. C., 121, 14725 (2017).

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