文献

J-GLOBAL ID：202002289089965085   整理番号：20A0841118

北海道東部のコケ型林床の亜寒帯針葉樹同齢林における稚樹の分布と地表環境

Spatial distributions of seedlings and ground-surface environment in an even-aged sub-boreal coniferous forest with moss-type undergrowth in eastern Hokkaido, Japan

著者 (7件)： 寺澤和彦 (東京農業大学生物産業学部) ,  鈴木ななみ (東京農業大学生物産業学部) ,  井上昴 (東京農業大学生物産業学部) ,  保科友希 (東京農業大学生物産業学部) ,  小林香奈 (東京農業大学生物産業学部) ,  田中光佑 (東京農業大学生物産業学部) ,  酒井賢一 (一般財団法人前田一歩園財団)
資料名： 森林立地  (森林立地学会誌)
巻： 61  号： 2  ページ： 85-94(J-STAGE)  発行年： 2019年 
JST資料番号： G0591A  ISSN： 0388-8673  資料種別： 逐次刊行物 (A)
記事区分： 原著論文  発行国： 日本 (JPN)  言語： 日本語 (JA)

抄録/ポイント： 北海道東部の阿寒湖近傍の標高約700 mの緩斜面に成立する林齢約120年のトドマツを主とする天然生針葉樹同齢林において,コケ型の林床に生育する稚樹の空間分布と地表および表層土壌の環境の調査を行い,稚樹の局所密度と環境要因との関係を条件付き自己回帰(CAR)モデルを用いて解析した。調査区(32 m × 32 m)における当年生稚樹を除いた稚樹の本数密度は,トドマツが35,859 本/ha,アカエゾマツとエゾマツが合わせて4,902 本/haであり,これらの稚樹はすべて地表面から発生していた。稚樹の最大樹高は,いずれの樹種でも30 cm未満であった。トドマツとエゾマツ類の稚樹の分布様式は0.5~2mの区画サイズにおいて集中分布であり,両者は同所的に分布していた。地表環境の空間変動は大きく,散乱光透過率は12.5~37.7%,コケ被度は0~100%,コケの高さは0~6cmの範囲で変動した。また,調査区内のサブプロット(4 m × 4 m)において,表層土壌のpHは3.8~5.6,C含有率は10.9~52.2%,N含有率は0.7~2.3%,CN比は15.2~26.5の範囲で変動した。CARモデルによる解析の結果,トドマツとエゾマツ類の1年生以上の稚樹の局所密度に表層土壌のC含有率とCN比がそれぞれ負と正の影響を与えていることが示された。エゾマツ類の稚樹については,これに加えてコケの高さが負の影響を与えていることが示された。これらの結果から,地表および表層土壌における小さな空間スケールでの環境の異質性が,無生物的あるいは土壌中の微生物を介した関係を含む生物的な関係を通じて稚樹の空間分布に影響を及ぼしている可能性が推察された。(著者抄録)

シソーラス用語： *林分 ,  *針葉樹林 ,  *生息分布 ,  樹齢 ,  苗木 ,  地表面 ,  生息環境 ,  トドマツ ,  天然林 ,  空間分布 ,  表層土 ,  自己回帰モデル ,  散乱光 ,  透過率 ,  北海道 ,  *林床 ,  *コケ植物 ,  環境因子 ,  幼植物 ,  *隠花植物
準シソーラス用語： *こけ類 ,  環境要因 ,  空間変動

著者キーワード (10件)： 亜寒帯針葉樹林 ,  トドマツ ,  エゾマツ ,  更新 ,  空間異質性 ,  sub-boreal coniferous forest ,  Abies ,  Picea ,  regeneration ,  spatial heterogeneity

分類 (2件)： 森林生物学一般  (FF02010T) ,  植物生態学  (EE02000E)

引用文献 (40件)：

• Cheng, D., and Igarashi, T. (1987) Fungi associated with natural regeneration of Picea jezoensis CARR. in seed stage - their distribution on forest floors and pathogenicity to the seeds. Research Bulletins of the College Experiment Forests 44: 175-188.
• 程 東昇・五十嵐恒夫 (1990) エゾマツ,アカエゾマツ,トドマツ及びカラマツ種子・稚苗の暗色雪腐病菌に対する感受性.北海道大学農学部演習林研究報告 47: 125-136.
• Christy, E.J., and Mack R.N. (1984) Variation in demography of juvenile Tsuga heterophylla across the substratum mosaic. Journal of Ecology 72: 75-91.
• Franklin, J.F., Maeda, T., Ohsumi, Y., Matsui, M., Yagi, H., and Hawk, G.M. (1979) Subalpine coniferous forests of central Honshu, Japan. Ecological Monographs 49: 311-334.
• 深澤圭太・石濱史子・小熊宏之・武田知己・田中信行・竹中明夫 (2009) 条件付自己回帰モデルによる空間自己相関を考慮した生物の分布データ解析.日本生態学会誌 59: 171-186.

タイトルに関連する用語 (9件)： 北海道 ,  林床 ,  亜寒帯 ,  針葉樹 ,  齢 ,  稚樹 ,  分布 ,  地表 ,  環境