抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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NMR(Nuclear Magnetic Resonance)分光法は原子核と電磁波の共鳴現象を利用した分子解析手法である.NMR分光法を用いた解析の一つに分子の拡散特性を解析するDOSY(Diffusion Ordered2D NMR Spectroscopy)がある.DOSYは複数の観測信号から分子の拡散による信号強度の減衰特性とスペクトルの推定を目的としており,数学的には観測データ行列の行列分解問題として定式化される.この行列分解問題を解く手法は(a)方程式を直接的に解く手法と(b)繰り返し最適化に基づく手法に大別される.(a)の手法は処理が高速で信号の事前情報を必要としない利点をもつ.しかしながら,理想的な信号モデルを仮定するため,実際のデータに対しては性能が低くなる.(b)の手法は実際の信号モデルを考慮しており推定精度が高い.しかし,精度の初期値依存性の問題や推定に時間を要する欠点がある.本論文では,(a)と(b)の手法の利点を併せもつ新しい手法を提案している.提案法では,信号強度の減衰を表す関数の差分方程式を固有値分解問題へと近似して解くことにより推定を行う.また,近似のための最適な係数の計算方法についても議論している.シミュレーションにより,推定精度と処理にかかる実時間を既存法と比較して,提案法の有効性を示している.(著者抄録)