抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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貯食は,動物が餌資源の利用可能性の変動に対応するための重要な戦略である。森林性の小型哺乳類において,餌資源が不足する冬期に備え,堅果・液果等が成熟する秋期に‘種子貯食’を行うことが知られている。一方で植物の種子生産には豊凶がみられ,これは動物による被食を免れるための植物側の戦略であると考えられている。種子貯食と種子の豊凶には何らかの関連があると予測され,貯食者に特定植物への嗜好性・選択性がなければ,結実量が豊富な種子が貯食資源として繁用される可能性が考えられる。これを明らかにするために,北海道足寄町に位置する九州大学北海道演習林内の2ヶ所の天然生落葉広葉樹林に計120個の巣箱を架設し,ヒメネズミApodemus argenteusによって貯食された種子の調査を行った。2018年および2019年の5~10月に実施した調査の結果,16個の巣箱にミズナラQuercus crispulaの堅果が,また8個の巣箱にハリギリKalopanax septemlobusの液果が貯食されていた。2018年にはミズナラおよびハリギリのマスティング現象が見られたこと,2018年10月に回収した貯食物は全てミズナラの堅果だったが,同年10月以降に貯食されたと思われる貯食物(2019年5月に回収)は全てハリギリ液果だったことから,長期的(年間)にも短期的(年内)にもヒメネズミは貯食時に豊富に存在する種子資源を日和見的に利用している可能性が示された。(著者抄録)