抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究では,有明海奥部の諫早湾における35.5km
2の干拓の影響を評価するため,有明海全域にわたる海底堆積物とマクロベントス相の群集構造の年年変動を分析した。1997年6月(7km堤防による諫早湾内の完全閉め切りから2か月後),2002年6月(堤防内水門の開門による諫早湾内の限定的な潮流の一時的回復から2か月後),2007年6月,および2015年6月に,4つの区域(湾奥部・湾央北部・湾央南部・湾口部)からなる潮下帯の82定点から堆積物を採取した。海底堆積物のメジアン粒子径は,2002年から2007年まで,有明海の湾央部から湾口部周辺までの多くの定点で減少し,2007年から2015年まで増加した。1997年6月,潮下帯の82定点から,合計29885個体の大型底生無脊椎動物(平均密度 7289個体/m
2)が採取され,最も優占な分類群は,多毛類,ヨコエビ類,端脚類,および二枚貝類であった。2002年6月,同じ定点から,62314個体(平均密度 15199個体/m
2)が採取された。しかし,マクロベントスの個体数と密度は,2007年6月に11992(2925個体/m
2),2015年6月に17669(4310個体/m
2)に減少した。この類似した変動パターン(すなわち,1997年から2002年までの増加と2002年から2007年および2015年までの減少)は,各々の優占な分類群の密度において,そして有明海の4区域におけるすべてのマクロベントスについて,共通して観察されたが,この変動は他の区域よりも湾奥部と湾央北部においてより顕著であった。本研究の結果は,マクロベントス群集が,2002年から2007年および2015年まで,諫早湾(有明海奥部)だけでなく,全海域にわたって減少していることを示唆する。(翻訳著者抄録)