抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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夏期に発生する豪雨時に観測される記録的雨量は,極値の中でも外れ値となることが多く統計的評価が難しい。本報告では,外れ値の統計的評価に地域頻度解析の手法を適用し地点頻度解析による結果と比較した。解析対象地点には,近年,大規模な豪雨を記録した川井,只見,五十里,福井,尾鷲,岡山,高知,朝倉,津和野,宮古島の10カ所の雨量観測点を選定し,地域頻度解析では,これらの各地点の年最大日雨量データにそれぞれ一般化極値分布をL積率法により適応した。また,地域頻度解析では,気象庁所管の全国155地点を対象とした。まず,これらの地点において1988~2017年の40年間に観測された年最大日雨量を対象に地域分類を行い,分類により得られた各地域内の各地点の年最大日雨量を各々の平均値で基準化した。地域内全ての観測点における基準化雨量を対象に複数の確率分布を適応し,最も適合度が高い確率分布を採用した。以上のようにして得られた地点頻度解析および地域頻度解析のそれぞれの確率分布を用いて,10カ所の各観測点における外れ値を統計的に評価した。その結果,解析対象資料の外れ値の非超過確率は,地域頻度解析でより大きく評価され,適合する確率分布の外れ値への適合度が高くなること,その確率年の推定値は地点頻度解析に比べて長くなることが示された。これらの結果から,地点頻度解析で「外れ値」となる年最大日雨量は,地域頻度解析を適応した場合に,地域頻度解析で上位に位置づけられる基準化雨量は,その非超過確率が地点頻度解析よりも大幅に大きく評価される場合があることが分かった。このことは,低頻度の確率水文量の推定値は,地点頻度解析と地域頻度解析とでその推定結果が大きく異なる場合があることを示している。(著者抄録)